大谷翔平を笑わせた変則左腕がCY賞候補に急覚醒 ドラフト36巡目、戦力外からの“下克上”
変則投法で大谷翔平を笑わせたヤンキースのコルテスが3勝1敗、防御率1.80
昨季、エンゼルスの大谷翔平投手を相手に変則投法で注目を集めたヤンキースのネスター・コルテス投手が、開幕から好投を続けている。開幕ローテーションの座を掴み取ると、ここまで8試合に先発して3勝1敗、防御率1.80。ドラフト36巡目指名の苦労人が、サイ・ヤング賞の候補にまで挙げられるほどの覚醒を見せている。
一躍注目を浴びたのは昨年6月29日(日本時間30日)のエンゼルス戦だった。大谷を相手に投球モーションに入ると左足をカクカクさせ、さらにゆっくりと右足を上げながらフラフラとタイミングを外した。球審がタイムをかけてプレーを止めると、大谷は思わず笑顔になった。この後もクイック、サイドスローとあの手この手を駆使して、最後は中飛に打ち取った。
そんな変則左腕がメジャーの舞台に辿り着くまでの道のりは平坦ではなかった。2013年のドラフト36巡目でヤンキースに指名され、同期のアーロン・ジャッジ(1巡目追補)、加藤豪将(2巡目)らとメジャー昇格を目指す。2018年には、いわゆる“現役ドラフト”の「ルール5ドラフト」でオリオールズに指名され、メジャー初登板のチャンスを得たが、結果を残せず規約に基づいてヤンキースに返却されてしまった。
2019年には33試合に登板するも、オフにヤンキ―スから事実上の戦力外。2020年はトレードで移籍したマリナーズで5試合に登板したが、オフに自由契約となってヤンキースに2度目の出戻りを果たした。転機となったのは昨年、マイナー契約から5月にチャンスを掴むと、リリーフで結果を残して先発に配置転換。22試合(14先発)で2勝3敗、防御率2.90と好成績を残した。
さらに今季は開幕ローテーションを掴んで8試合で3勝1敗、防御率1.80。9日(同10日)には8回1死までノーヒット投球を披露するなど、ア・リーグの防御率ランキングで5位につけている。変則投法からは想像できない本格派の投球内容で45イニングで56奪三振。MLB公式サイトのサイ・ヤング賞を占う記事では、バーランダー、ガウスマンに次いで3位にランクインしたほどだ。コルテスの今後の活躍に加えて、大谷との再戦にも注目が集まりそうだ。
(Full-Count編集部)