佐々木朗希に「メジャーの強打者が脱帽する」 球界OBが予感する“令和の怪物”の完成形

大洋(現DeNA)OBの齊藤明雄氏【写真:近藤俊哉】
大洋(現DeNA)OBの齊藤明雄氏【写真:近藤俊哉】

育成した吉井理人氏に共感「楽しみではあるけど一番荷が重い(笑)」

 佐々木の場合、2020年にロッテ入団後、吉井理人投手コーチ(現ピッチングコーディネーター)の指導を受けながら、1年を掛けてじっくり体力作りに励んだ。齊藤氏は「メジャーを見ても、ドラフト1位は必ずマイナーで鍛えさせて、1年目の終わりくらいに球数制限を設けて上で投げる形。1年目は最高でも1試合40-50球くらいですよね。ストラスバーグ(ナショナルズ)もそうでした」と育成法を評価する。

「日本では『期待のルーキー』として即戦力で使って失敗することが多いけど、ロッテは吉井さんがメジャー流でちゃんと育てた。コーチの立場から言うと、ああいう選手を預かるのは楽しみではあるけど一番荷が重い(笑)。日本の財産、野球界の財産ですから、壊すわけにはいきません。吉井さんにも『大変だな』と声を掛けたら『はい、壊したらエラいことになります』と言ってましたよ(笑)。

 それでも『早く使え』という声も聞こえる中、よくしっかり育てました。1年目にブルペンで投げる姿を見ましたが、すごい球を投げる。ただ、体の線が細くて筋量がスピードについてきていないし、スタミナも持たない印象でした。球数を制限しながら徐々に育てて、やっと3年目で能力に耐えられる体の準備ができたのかなと思います」

 3年目の20歳。まだまだ成長の過程にあるからこそ、齊藤氏が寄せる期待も大きく膨らむ。

「メジャーで圧倒する姿も見たいけど、日本でもう少し見ていたいですよね。これから完全試合を何試合くらいやってくれるのか。1年に1回ペースもあるんじゃないかと思いますよ(笑)」

 子どもたちに夢を与えるだけではなく、百戦錬磨の大先輩さえもワクワクさせてしまう。それもまた、佐々木朗を類い稀なる存在とする1つの魅力なのかもしれない。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY