父と挑み続けた希望の轍 バウアーのサクセスロードは自身の醜聞で途絶えてしまうのか【マイ・メジャー・ノート】第7回
324試合出場停止処分を受けた右腕は異議を申し立てた
ドジャーブルーのユニホーム姿はもう見られないのか。
周知のとおり、大リーグ機構(MLB)は4月終わりに、ドジャースのトレバー・バウアー投手に対し、ドメスティックバイオレンス(DV)などを禁止する規定違反として、2シーズンに相当する324試合無給の出場停止処分を科した。証拠不十分のため事件として追訴はされなかったが、レッズから移籍した昨季途中に浮上した女性への性的暴行スキャンダルをマンフレッド・コミッショナーは重く受け止めた。
2020年にダルビッシュ有(当時カブス)を抑え、ナ・リーグのサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を手にし、昨春にドジャースと3年総額130億円を超える破格の契約を結んだ右腕は、異議を申し立て、その調停が23日(日本時間24日)から始まっている。
今回の騒動に、バウアー父子の掛け値なしの『美談』を思う。
バウアーはプライベートの露出を嫌う。その一端を見たのは、2年前の秋、オンラインで行われた栄えあるサイ・ヤング賞の受賞会見だった。ア・リーグで選出されたインディアンス(現ガーディアンズ)のシェーン・ビーバー投手が、家族や親しい友人らに囲まれ歓喜の中でその喜びを語っていたのとは対照的に、バウアーはソファに1人で座り会見に臨んでいた。