走者を騙す超絶トリック 名手直伝の“秘技・犠飛つぶし”は「奇跡のようなプレー」
犠飛の可能性がある飛球に対してグラブを高く構えた後にしゃがんで捕球
米大学野球で、名手として知られる現役メジャーリーガー直伝のトリックプレーを成功させ、サヨナラ負けのピンチを脱した守備が話題になっている。犠飛の可能性がある飛球に対して、グラブを高く構えてから直前にしゃがみ、地面に落ちるすれすれでキャッチ。タッチアップに備えていた走者を捕球より早くスタートさせ、アウトにする策が見事にはまった。MLB公式サイトが「タンパの大学チームがいかに『KKプレー』を決めたか」とのタイトルで詳細を伝えている。
メジャーリーガー直伝の“犠牲フライ潰し”を炸裂させたのはNCAA(全米大学スポーツ協会)ディビジョン2(2部)に所属するタンパ大学の守備陣だった。5月22日(日本時間23日)に行われたノバ・サザンイースト大学(NSU)との試合。2-2で迎えた9回裏に1死満塁のピンチを迎え、相手打者は左翼へフライを打ち上げた。しかし、左翼手のジョーダン・ララはグラブを高く掲げた後にしゃがんでキャッチ。ララからの送球を受けた三塁手のアンソニー・ヌニェスが三塁ベースを踏み、塁審にアピールすると、アウトが宣告された。ララが打球をキャッチする前に三塁走者がスタートしたと認定されたのだ。
サヨナラ勝ちを決めたと確信したNSUナインは喜びを爆発させたが一転、ダブルプレーでチェンジとなり延長戦に突入。試合は延長12回でタンパ大が勝利した。外野に飛球が上がった瞬間、負けを覚悟したというタンパ大のジョー・ウルソヘッドコーチは「もう二度とみることがないと思うような奇跡のようなプレーだ」と語った。このプレーをチームに伝えたのはレイズに所属するケビン・キアマイアー外野手だった。ゴールドグラブ賞3度受賞を誇る名手は毎年、スプリングトレーニング前の練習をタンパ大で行う。その際にこのプレーを教えたことから、タンパ大では「KKプレー」と呼び、練習を続けていたという。
タンパ大のジョー・ウルソヘッドコーチは試合後にキアマイアーに電話をかけてメッセージを残した。ララや他の外野陣は「やったよ! 成功させたよ! あのKKプレーを僕たちは決めたんだ!」と叫び、感謝の思いを伝えたという。キアマイアーは「これがうまくいくと思っていた。タンパ大学は我々が正しいと証明してくれた。少しは僕の手柄といってもいいかもしれないけど、重要な場面で完璧に決めた選手が全ての手柄を受けるに値するよ」と喜びを表した。ちなみにキアマイアー自身は実戦で決めたことがない。ジャイアンツのマイク・ヤストレムスキー外野手が6月4日(同5日)のマーリンズ戦でこのプレーを試みたが走者は騙されず。マーリンズがサヨナラ勝ちしている。