他球団から「セコい」、捕手からは「疲れる」 中日・柳裕也に送られる“最高の称賛”

中日・柳裕也【写真:荒川祐史】
中日・柳裕也【写真:荒川祐史】

投手9人つぎ込んだ死闘の翌日に3安打完封…背番号17を象徴する“責任感”

「いやぁ、情けないっすわ」。2年間でわずか3勝の不甲斐なさを口にした4年前が、はるか昔のように感じる。2021年は最優秀防御率と最多奪三振の2冠。プロ6年目を迎えた中日の柳裕也投手は、今季も黙々とアウトと勝利を重ねている。派手さより、緻密さ。背番号17には、べったりと責任感が張り付いている。

 今季初登板となった3月27日の巨人戦(東京ドーム)は、いきなり初回に4失点。岡本和真、中田翔から連弾を浴びる最悪の滑り出しだった。早々のノックアウトもよぎったが、結果的には7回まで粘る。10安打を浴びながら、118球を投げ堪え続けた。試合は終盤に追い上げ、延長10回の末に逆転勝ち。立浪和義監督にとっては就任後初の白星だった。

 続く4月3日の広島戦(バンテリンドーム)は、一転して3安打完封。わずか1点の援護で十分な快投だった。何より前日2日の同カードは延長12回の死闘で、9投手をつぎ込んでいた。ブルペン陣への負担を考えたからこそ、「きょうは1人で投げきろうと思っていました」。試合後のお立ち台で、さらりと口にした。

 その姿は、周囲も奮い立たせる。5月6日の阪神戦(バンテリンドーム)で、延長10回2死までパーフェクト投球を続けていたエースの大野雄大投手は、投げきった理由をこう語った。

「9回投げ終わった時に、監督に『もうええか、代わるか?』と言われてちょっと悩んだんですけど、柳やったら絶対投げるって言うやろうなと思ったんで、僕も投げますって言いました」

 そんなエース左腕は、今季ここまでリーグ最多タイの3完投。そして、柳も2完投。タイプの違う2枚看板が、先発ローテーションを支えている。

直球は142キロでも「できることが多すぎて、要求通りに投げてくれる」

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