一塁到達最速タイム生んだ“究極のヘッドスライディング” パの快足トップ5は誰?

1位を記録した走りは“究極の”ヘッドスライディングによるもの

 結果から言ってしまうと、1位も三森でした(笑)。もう笑うしかない。お見事のひと言である。3秒71というタイムは長年見てきた中でも5本の指に入るだろう。いかに俊足であるかは、もう述べる必要がないと思うので、ここでは最後に決めたヘッドスライディングについて言及したい。タイムを縮めるにあたり、実に理にかなっているのだ。

 一般的に、多くの選手は飛んだあとにお腹のあたりで地面に着地してしまい、こするようにして滑りながら一塁ベースに手が触れる。ところが、三森のヘッドスライディングはギリギリまで空中に浮いていて、体が地面に着地するのとほぼ同時に手がベースに触れていた。

 よく一塁ベースは「走り抜けるほうがヘッドスライディングよりも早い」と言われるが、早くに着地して地面をこすり、減速してしまうことがその一因だと考えられる。しかし、このヘッドスライディングならそのロスが解消されるというわけだ。究極のヘッドスライディングができたからこそ、今回、最速タイムになった。そうとらえていいだろう。

 ただし、ヘッドスライディングは常に故障のリスクがつきまとう。そのリスクを踏まえると、あまりしないほうがいいというのも真理だと思う。三森にも、時と場所を考えて敢行することをおすすめしたい。

 なかなか新鮮な顔ぶれが出揃った今回の内野安打一塁到達タイム。ただ、TOP5にはソフトバンクとロッテの選手しかいないという珍現象だ。楽天ならば辰己涼介外野手や移籍加入の西川遥輝外野手、西武なら走塁タイムの常連メンバーである源田壮亮内野手、オリックスにもセーフティバントで1位になった福田をはじめ、佐野皓大外野手のようなスペシャリストもいる。故障離脱さえしていなければ、五十幡亮汰外野手(日本ハム)が入ってくるかもしれず、楽しみだったのだが……。

 しかし、今回のような開幕後30試合前後のサンプルによるランキングであれば、当然、偏りは生じる。昔からの格言で「走塁にスランプはない」というものがあるが、筆者はその言葉に懐疑的で、ことタイムに限れば心身におけるコンディションの好不調によって結果は大きく違ってくると考えている。

 ましてや、0秒10違うだけで顔ぶれがまったく異なってくるほどシビアなタイムの世界。次に計測したときには、今回のTOP5が全員圏外になっても不思議ではない。次はどんな選手が入ってくるだろうかと楽しく想像しながら、秋までのペナントレースを追いかけていきたい。

【動画を見る】パを代表する快足たちの“究極の走り”を見よ! 序盤戦の一塁到達トップ5

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