PayPayドーム“No1売り子”は今年がラスト 1試合でビール409杯売り上げた秘訣
「売り子の動きが早いエリアは売れている。そういうのも見て判断しています」
「とにかく楽しいです。確かにキツいのもありますけど、いろんなお客様がいて、色んな人と話せるし、普通の飲食店ではできないような経験ができていると思います」と売り子の魅力を語る。今季実施された「ビール半額デー」では、自己最高売り上げとなる1日409杯を記録した。
なぜ、ななかさんはトップ売り子に上り詰めることができたのか。「自信を持つことだと思います。私が背負っているビールは他のものよりも50円高く、断られることもあります。ただ、それをマイナスに捉えず、自分のビールに自信持ち、自分が一番楽しむことが大事。自分が1番楽しそうにしていることも大事だと思います」という。
もちろん周囲を見る観察力、洞察力も必要だ。ドーム内の人の流れ、売り子の動きを読むことは売り子に必須だ。「それは1、2年目の時に無意識にできるようになりました。あまり自分は考えて動くタイプではなく勘で動くタイプ。ただ、売り子の動きが早い、早く歩いているエリアは売れているエリア。そういうのも見て判断しています」とななかさんは言う。
昨季までの2年間はコロナ禍で、ほぼ売り子として活動することはできなかった。「他のバイトをしたりもしましたし、コンコースの売店でビールを売ったりもしました。でも、それは売り子じゃない。やっぱり売り子をしたいという気持ちはありました。自分が卒業の年だったら相当キツかっただろうな。そうやって辞めていった先輩たちもいたので」と振り返る。
5月度もアサヒビール全体で売り上げ1位に輝いた。「3月、4月と1位にならせていただいて、その時から、今季は毎月1位を獲ることを目標にやっています」と残る“売り子人生”に意気込む。トレードマークは金の装飾が施された帽子。先輩売り子から代々受け継がれているものだ。コロナ禍の苦しみを味わったからこそ分かる満員のありがたみ。売り子たちも喜びを感じながら、スタジアムでビールを売っている。