楽天ファンの拍手「本当にうれしかった」 DeNA藤田が古巣に感じた「いい雰囲気」
「チームが困ったときに、守備の面でも起用されたら…」
ここまでの先発出場はわずか1試合。代打として、与えられた1打席に懸ける日々だ。かつて二塁手として3度ゴールデングラブ賞を獲得した名手にとって、守備からリズムをつくることのできない難しさは、もちろんある。それでも「ベンチで声を出しているだけでは体をいい状態に持っていくのは難しい。準備不足にならないようにというのが一番。ちょくちょく(ベンチ)裏に行って自分の中で工夫したり。自分の中でどんどんいい方法を見つけていかないといけない」と話す。
ここ数年で横浜スタジアムの観客動員数は飛躍的に増えた。若手時代は、守備中にスタンドからのヤジが聞こえたという本拠地も、今では3万人を超えるファンが連日応援に駆け付ける。「凄いですよね。あの声援をもらうと自分の中でもう1つ気持ちも入るし、アドレナリンが出てくる。癖になるというか、“あの歓声をもう1回味わいたい”というのがあるんですよね」と声援に感謝した。
試合中のベンチでは若手の隣に座り「今のプレーはこうしておけば防げたよね」とさりげなく話すなど、惜しみなく経験を伝授する。「僕も若い時は、そのプレーのことしか考えていなかった。先のプレーを前もって考えておくことで落ち着いてできるし、その後のプレーも考えてできる。それがチームの流れを考えることにもつながる。そういうのを若い選手が早い段階で分かっておけばチャンスをつかめる。プラスになるかどうかは分からないですけど、少しでも力になれたらいいと思って」。楽天時代の2013年に日本一に輝いたプロ18年目がもたらす影響は大きい。
「今はいいところで代打で使っていただいている。そこでしっかり結果を残さないといけないという思いはありますけど、元々僕は守備の方が自信がある。チームが本当に困ったときに、守備の面でも起用されたら準備不足にならないように、出たときに結果を残せるようにしておきたいなと思います」
7月3日に40歳を迎えるベテランは、欠かせない存在としてチームを支えている。
(町田利衣 / Rie Machida)