専門家が占う今季の新人王争い 「印象度は断トツ」と高く評価した選手は?
西武・隅田&佐藤は「存在感を増してくる可能性がある」
パ・リーグでは、育成出身で3年目のソフトバンク・大関友久投手がプロ初勝利を含め4勝3敗、防御率2.19。新人王有資格者で唯一人、規定投球回以上を投げている。日本ハムのドラフト8位ルーキー・北山亘基投手はクローザーとして、3勝4敗7セーブ、防御率4.62の数字以上に鮮烈な印象を残している。育成出身2年目の西武・水上由伸投手はセットアッパーとして、26試合1勝1敗12ホールド、防御率1.05を誇る。
西武ではドラフト1位・隅田知一郎投手と同2位・佐藤隼輔投手の両左腕がともに先発ローテの一角を担ってきた。隅田は防御率3.19をマークしながら白星につながらず、1勝7敗。佐藤は9試合登板で3勝3敗、同4.22の成績を残している。野口氏は「この2人は試合をつくる能力があり、打線との兼ね合いもありますが、今後成績を伸ばして新人王争いで存在感を増してくる可能性があると思います」と注視する。
野手では、3年目のソフトバンク・柳町達外野手が、下半身のコンディション不良による11日間の登録抹消を経て17日に1軍復帰。規定打席には少し足りないものの、打率.308の打棒を振るっている。2年目の日本ハム・今川優馬外野手も、20日に抹消されたものの打率.246、6本塁打17打点で成長著しい。
野口氏が「印象度は断トツ」と評するのは、高卒ルーキーのロッテ・松川虎生捕手。チーム67試合中35試合出場で、打率は.148。完全試合を達成するなど今季のプロ野球を席巻している佐々木朗とは登板した全11試合でバッテリーを組み、18歳には見えない落ち着き払った態度、思い切りのいいリード、巧みなキャッチングで注目されている。
残念なのは、楽天のドラフト2位ルーキー・安田悠馬捕手。開幕から3試合連続でスタメン出場し、プロ初本塁打も放ったが、新型コロナウイルスに感染し離脱。その後2軍で左手人さし指を痛め、1軍復帰が遠のいている。野口氏は「パワフルな打撃が素晴らしく、守りも普通にできる。1軍復帰を楽しみに待ちたい」と話す。
残り半分のシーズンで、メキメキ頭角を現してくる有資格者がいるかもしれない。新人王争いはいわば“エントリー”が出そろった程度で、これからが本番だ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)