大谷翔平から“三振を奪う”ための投球術 ヤ軍元エースとの仮想対決で見えた「野球の奥深さ」【マイ・メジャー・ノート】第8回
大谷翔平との勝負、コーン氏が決め球に選んだボールとは…
初球)2-3-3-2と出し、外角の低めにスライダーが決まる。長打を警戒し、出方を見た。大谷はピクリともしない。待っているのはストレートと察した。
2球目)3-1-2-1-4と続け、内角高めゾーンの外にストレートを要求した。大谷の目付けを崩し、次の球を生かす狙いがあった。カウントは1ボール1ストライク。
3球目)1-4-2-4-5と送って、チェンジアップを外角低めに要求。2球目のボール球が伏線となり、大谷は突っ込み右手1本のスイングになった。ファウルを稼ぎ、カウントは1ボール2ストライク。
追い込んだ。さて、勝負球はどうするか……。外角低めへのスライダー、同コースへのストレートを要求した。が、コーン氏はうなずかない。続く外角低めへのチェンジアップにも無反応だった。そこで手堅い解説を入れてきた。「その3つの軌道はもう見られてますよ。当てられる可能性も、ファウルで粘られる可能性もあるじゃない」。これで決まった。2-4-5-4-1と送ると、ミットに見立てた左手を外角低めに構えた。スプリットを見事そこへと落とし、大谷翔平を空振りの三振に仕留めた。
笑顔のコーン氏曰く「オオタニはリーチが長い。外にスッと抜け落ちる球で追いかけさせたかったんですよ」。