達成者は涌井秀章らわずか3人　パ・リーグ一筋で全12球団から白星を挙げた投手たち

涌井はロッテ時代の2014年、金子は2019年に達成した

　楽天・岸孝之投手が6月9日の広島戦で史上19人目となる全12球団からの勝利を達成した。セ・パ交流戦導入以前は最低でも両リーグで2球団ずつに在籍する必要があったが、2005年に導入されて以降は2球団の在籍で達成が可能になった。しかし、「パ・リーグ球団の在籍のみ」での達成となると岸を含めてわずか3人だ。この記録を達成した3投手や今後達成が期待される投手を紹介する。

○涌井秀章投手（西武→ロッテ→楽天）
　
　横浜高から2004年ドラフト1巡目で西武に入団。2年目の06年に12勝を挙げると、翌07年には17勝で最多勝のタイトルを獲得。09年には自身2度目の最多勝に加え、沢村賞の栄冠にも輝いていた。13年オフにFA権を行使ししてロッテに移籍。この時点で西武を除く11球団から勝利を挙げており、14年4月15日の西武戦で移籍後初勝利を挙げると同時に全12球団からの勝利を達成した。同一リーグの球団だけに所属しての記録達成は史上初だった。

　ロッテでは移籍初年度こそ苦戦したが、15年に15勝で3度目の最多勝。19年オフにトレードで楽天へ移籍した。移籍初年度の20年は120試合の短縮シーズンながら11勝をマーク、自身4度目の最多勝を獲得した。異なる3つの球団での最多勝は史上初の快挙だった。今季は5月に右手を骨折して戦線離脱。復帰が待ち望まれる。

○金子千尋（オリックス→日本ハム）

　長野商からトヨタ自動車を経て2004年ドラフト自由枠でオリックスに入団。07年途中から先発ローテーションに定着し、翌08年に初の開幕投手を務めて10勝をマークした。11年まで4年連続2桁勝利を記録し、17勝を挙げた10年には自身初の最多勝に輝いた。2013年には15勝を挙げ、沢村賞の選考項目7つを全て満たしたが、楽天・田中将大投手が24勝0敗という歴史的なシーズンを送ったこともあり受賞はならず。翌14年は16勝、防御率1.98で最多勝と最優秀防御率を獲得し、沢村賞も受賞した。

　18年オフに日本ハムへ移籍。この時点で、オリックスを除く11球団から勝利を記録していた。そして、19年4月18日にオリックスから白星を挙げ、史上2人目となるパ・リーグ球団のみでの12球団勝利を達成した。同年は先発と中継ぎを兼任して100イニング以上を消化し、8勝2ホールド、防御率3.04と活躍した。