代打候補は「上川畑君だけ」 由伸撃ちへ新庄監督が賭けたドラ9新人の“思い切り”
まさに「“神”川畑」も本人謙虚「いつか本当の『神ってる』活躍を」
守備面の期待が大きかった選手ではあるが、ここまで打率.312とバットでも存在感を放つ。ビッグボスが何よりも評価しているのは、思い切りの良さだ。「全員ストライクゾーンにいった球を打ちに行ってほしい、打ちに行って止まる。上川畑君は打ちにいって止まってくれるタイプ。ああいうふうになってほしいね」。この日も2球見極め、カウント2-0からのファーストストライクを捉えた。一時はチェンジアップに苦労していたが、6月1日に広島・遠藤のチェンジアップを左翼線へ運ぶ安打としてからは、いい状態を取り戻した。
1軍キャンプに抜擢されていたが2月上旬、昨年末に受傷した右膝外傷性骨挫傷の治療のためファームに合流。5月24日に待望の1軍昇格となった。ビッグボスは「足の状態とかもある。硬い球場だから、成績どうこうじゃなくて徐々にということは言っていた」とベンチスタートの理由を説明。あくまでシーズンを最後まで戦うための慎重な起用だったが、一振りで結果を出したことに「休ませても代打で使えるということが分かった」と満足げだった。
チームは前日の山岡に続き、防御率1点台の投手を撃破して価値ある2連勝を飾った。ネット上で「神川畑」が浸透しつつあるルーキーは「まだ1か月出ているだけ。『神』って呼ばれる活躍は全然していないので、いつか本当の『神ってる』活躍をして成績を残せたらと思います」と謙虚だったが、今季最多3万223人のファンの前で見せた“神がかり”的な一打。ビッグボスをひきつける魅力が確かにあった。
(町田利衣 / Rie Machida)