現役引退を決めた瞬間とは? 五十嵐亮太氏と元世界王者が「鈍った」と感じたワケ
同世代対談「極める」第1弾 五十嵐亮太vs.元ボクシング世界王者・内山高志【第4回】
日米23年のプロ野球生活を送った五十嵐亮太さんと、各界で活躍する“同世代”との対談シリーズ。「極める」を合言葉に、多岐にわたるトピックスについて語り合う。第1弾のゲストは、元ボクシングWBA世界スーパーフェザー級王者で世界王座11度防衛を果たした内山高志さんだ。全5回シリーズの第4回は「引退決意」について語り合う。
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――お2人とも現役時代は何をモチベーションとしていましたか?
内山:僕は正直、モチベーションを意識したことはなかったですね。ボクシングは楽しいし趣味みたいなものだったので。そもそも世界チャンピオンになれると思っていなかったから、その座にいることが不思議で「ラッキーな人生だな」と思っていました。
五十嵐:チャンピオンになったら周りの見る目が変わりますよね。
内山:スポンサーさんがついたり後援会を作ってもらったり、勝たなきゃいけないと思いましたけど、世界チャンピオンになっても練習はジムの中で誰よりもやっていたから、負けたらしょうがないなと。
五十嵐:僕も長く続けるためにモチベーションってそこまで必要ないな、と感じています。練習するのは当たり前だし、勝つために何をするべきかは決まっている。その中で新しい発見や、もっと上手くなりたいという向上心は常にある。とにかく同じことの繰り返しですよね。
内山:そうですね。
五十嵐:繰り返しやっていると感覚が麻痺してくるから、途中からなんだか機械みたいで、気持ち云々ではなく、とりあえず練習場に行って着替えると、勝手に体が動くという(笑)。
内山:分かりますね、その感覚。僕も試合の3か月ほど前から決まった練習をするんですけど、これが本当にきつくて、早く試合が終わってほしかったです(笑)。
五十嵐:しんどい時って自分の心と体が離れている感じですよね。