現役引退を決めた瞬間とは? 五十嵐亮太氏と元世界王者が「鈍った」と感じたワケ

五十嵐「大きく派手なことじゃなくて、地味なことの積み重ねですよ」

内山:スポーツ選手には共感してもらえると思うんですけど、目覚ましで起きて「もう練習時間だ……」って思った時の、あのだるさ!(笑)

五十嵐:分かる!(笑) でも、そこで行ける人が残る。「そんなこと?」って思うかもしれないけど、小さなことをやり続けられるかどうかが、長くできるかどうかの差になる。大きく派手なことじゃなくて、地味なことの積み重ねですよ。

内山:数週間くらい集中して追い込むことはできても、それでは結局伸びない。僕らは小さなことを毎日続けられた。本当に積み重ねですよね。

五十嵐:「ボクシングは楽しいし趣味みたいなもの」って言ってたけど、僕もそのタイプ。全てが楽しめるわけではないけど、楽しもうとする気持ちがあるかどうかが大きい。内山さんは連勝中に挫折はなかったんですか?

内山;なかったですね。負けたらしょうがない、と思っていたので。

五十嵐:じゃあ、引退するきっかけは?

内山:12回目の防衛戦で2ラウンドKO負けで王座を奪われて、その半年後に同じ相手とのリベンジ戦に判定負けした。37歳の時です。35歳くらいから練習で少しパンチをもらったり、なんか反応が鈍っているなと感じる中でのそれだったので、これ以上は伸びないだろうと引退しました。他団体で王座を狙う道もあったけど、そこまでごまかしてやりたくなかったので。

五十嵐:そうか、自分の反応か。

内山;五十嵐さんは41歳まで現役をして、鈍ったと感じたことは?

五十嵐:ありますよ。ピッチャーもごまかしは利くので、バッターを抑えるための選択肢を探そうと思えば探せたと思います。僕が辞めようと思ったのは、年間を通して戦える体力がなくなったのと、パフォーマンスのいい時と悪い時の差が激しくなったことですね。内山さん、プロは22年でしょ。僕は23年。それぞれ人生の半分以上を費やしたわけですよね。

内山「引退してただのオッサンになると恥ずかしくて(笑)」

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY