現役引退を決めた瞬間とは? 五十嵐亮太氏と元世界王者が「鈍った」と感じたワケ
内山「引退してただのオッサンになると恥ずかしくて(笑)」
内山:そうですね。でも、結構スッパリ辞められました。僕のレベルでここまでやれたなんて運がよかった、と思ったほどで。
五十嵐:なんだか気持ちいいですね。
内山:全然悔いはなくて、逆に「明日から練習しなくていい!」ってうれしくて(笑)。
五十嵐:ジムを開いたのはいつ頃ですか?
内山:引退して1年半後くらいですね。引退を決めてから会見まで3か月くらい、ジムで体を動かしていたんですよ。でも、後輩たちが「どうぞ」と場所を空けてくれたり、リングから下りちゃったり。もう引退するから気にするなって言っても気にするから、行きづらくなっちゃって(笑)。それでジムを作ったんです。でも、作ったら作ったで、運動しなくなっちゃって。僕が練習をしていると、ジムの会員さんがみんな見るのが恥ずかしくて(笑)。
五十嵐:いいじゃない、見せてあげれば(笑)。
内山:現役の時は他の選手が「すごいな」って言いながら見ていても「当たり前だろ」って思ったけど、引退してただのオッサンになると恥ずかしくて(笑)。
五十嵐:少し分かるかも。僕も引退後に始球式で思いきり投げるのが恥ずかしい(笑)。
内山:僕、始球式を3回やってるんですよ。場違いじゃないかって思ったけど、せっかく呼んでもらったし、プロ野球選手なんて絶対なれないからうれしくもあるし、敬意もあるし。なので、3回ともオファーを受けてから本番まで1か月半くらい毎日練習して、おかげで3回ともストライクでした(笑)。
五十嵐:すごい! 繊細で真面目なんですね。これは54年生まれの特徴だな。僕もそうだってことにしておこうかな(笑)。(第5回に続く)
(佐藤直子 / Naoko Sato)