新庄監督が仕掛けた「本当は出したくない」奇策…隠密練習に応えた“演技派俳優”
一走・石井がつまずき牽制を誘い、スタートした三走・松本剛が生還
■オリックス 7ー3 日本ハム(3日・札幌ドーム)
日本ハムの新庄剛志監督が3日、札幌ドームで行われたオリックス戦で“転んだフリ作戦”を成功させた。選手に“演技派俳優”となることを求め、見事に演じきって奪った得点。「本当は出したくない」と話すものの、次々と奇策を繰り出すのには理由がある。
0-3の3回、石井の適時打で1点を返してなおも1死一、三塁の好機で打席に杉谷が入った。見逃し、ボールでカウント1-1。一塁走者の石井はスタートを切ろうとしてつまずいたように転び、左投手の山崎福はすぐにけん制球を投じた。スタートを切った三塁走者の松本剛は、石井が挟まれるのを横目に悠々とホームを陥れ、1点差に迫った。大盛り上がりの三塁ベンチ。会心の得点に、ビッグボスはベンチを飛び出し松本剛を出迎えた。
作戦のアイデアが「次々出てくる」という新庄監督。ときにはSNSのダイレクトメッセージで送られてくる「こういう作戦面白いと思いません?」という意見をもとに「うちの選手ならできるかも」と新たな作戦を生み出すこともあるという。
実は交流戦後の練習日、非公開で複数人が“転ぶ練習”を敢行。さらに1日の試合前にも約15分間、異例の非公開練習を実施していた。ビッグボスは「選手に俳優になってもらわないといけない。演技派に。ランナーでこの子演技うまそうだなって思ったらサイン出すし、下手そうだなって思ったら出さない」と話していた。
この日新庄監督は試合後の会見を行わなかったため、真意は分からない。しかし“演技派”として認められた名俳優・石井は「作戦の1つです。詳しくは言えません」と詳細については語らなかったものの「あんなにうまくいくとは思わなかったですけど、成功してよかったです。(けん制を)誘い出す感じはあります」としてやったりだった。