0-82で大敗のチームを支えた“元不登校”主将 最後の夏も笑顔で切り替えられるワケ

2回に治療のため試合が中断、試合続行の可否を審判団と協議する場面も【写真:川村虎大】
2回に治療のため試合が中断、試合続行の可否を審判団と協議する場面も【写真:川村虎大】

わせがくは千葉学芸に大会記録の82失点で大敗した

 スコアボードには32、33……見慣れない数字が並ぶ中、わせがくのマウンドに立った前田陽亮(ようすけ)捕手(3年)は最後まで大きな声を上げていた。時間はかかったが、アウトを1つずつ奪っていった。「きっと何事にも最後まで取り組むことができるようになると思います」。千葉学芸に0-82と大敗したが、決してうなだれるそぶりは見せなかった。

 茂原市・長生の森野球場で11日に行われた第104回全国高等学校野球選手権千葉大会1回戦。このメンバーにとって初めての公式戦だった。通信制の高校で、野球部員は9人。練習は週1度、4人しか参加できないこともあった。練習試合も6月に1回行っただけだった。

 通信制で授業時間や環境などが合わず、連合チームへの参加は難しかった。とはいえ単独チームで大会に出場するのにも“助っ人”が必要不可欠だった。そんな状況のチームを引っ張ったのは“軽音部兼任”で主将を務める前田だった。「みんなにやろうぜ! って……(笑)」。監督やコーチの支えもあり、5人が助っ人として参加。計14人で挑むことができた。

 抽選で引いた1回戦は昨春の県王者・千葉学芸。「100点取られることは覚悟していました」と田村勇樹監督は笑いながら明かす。その言葉通り、初回にいきなり32点を奪われた。捕手として先発出場していた前田は初回1死でマウンドに上がることになった。「『後ろでいくよ』って言われていたけど、初回は大丈夫だろうと思っていた」と苦笑いを浮かべる。

2回に33失点、大会記録の1試合与四死球34も「楽しくできたので良かったです」

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