8月の西武は「強いと信じている」 コロナ禍も前向き、辻監督が描く優勝のシナリオ
辻監督「球宴前まで上にくっついていければ…」
2点リードの7回1死満塁で打席を迎え、カウント1-2と追い込まれた状況で4球目をセーフティスクイズ。ボールはあえなく投前に転がり、本塁、一塁へと転送され痛恨の併殺となった。追加点のチャンスが一瞬にして消滅。呆然とする長谷川の表情が印象的だった。
これはどうやら、長谷川がサインを間違えたようだ。辻監督は試合後、「あんなところでスクイズはないでしょ。1死満塁、ツーストライクで。長谷川本人に確認したが、あやふやだった。自分の中で整理できなかったら、(打席を)外しなさいって。若さが出たかな」と苦笑。「これも経験。負けていたら、あいつも落ち込むだろうけれど、試合には勝った。2度とこんなことがないようにきっちりやらないとね」と柔和な表情でたしなめた。
西武の育成選手では、この日の試合前にも入団4年目の中熊大智捕手が支配下契約を締結した。今季中3人目の昇格だ。「あいつがまたね。そういうことが2軍にいる選手の励みになるだろうし、みんなが負けられない気持ちになってくれればいいと思います」と辻監督は波及効果を期待する。
もちろん、育成ばかりに目を向けているわけではない。辻監督は「オールスター前までしっかり上にくっついていければ、8月の西武は強いと、僕は信じています」と力強くうなずく。若手を我慢強く起用しながらチーム力を底上げし、ベストメンバーが揃うであろう8月に勝負──。指揮官は3年ぶりリーグ制覇のシナリオを、はっきり描いているようだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)