コロナ禍の西武が首位とゲーム差なし 最大8.5差から肉薄、辻監督「良く粘ってくれた」
無死二、三塁、無死満塁のピンチも無失点
■西武 2ー1 ロッテ(14日・ベルーナドーム)
パ・リーグ2位の西武は14日、本拠地ベルーナドームで行われたロッテ戦に2-1で競り勝ち、首位ソフトバンクへ今季最小の0ゲーム差(勝率2厘差)に肉爆した。5月11日の時点では首位に今季最大の8.5ゲーム差をつけられていた(当時の首位は楽天)が、怒涛の巻き返し。前日の13日に主将の源田、守護神の増田が新型コロナウイルス陽性の判定を受けるなど、多くの主力を欠く苦境だが、どこ吹く風。昨季42年ぶりの最下位に沈んだ獅子が、3年ぶりのリーグ制覇を目指して階段を上っていく。
辻発彦監督は「0ゲーム差? そういうこともあるでしょう」と平静を装いつつ、「やはり投手陣の頑張りが一番。今日もピンチの連続だったけれど、よく粘ってくれた」と感慨深げに語った。
2イニング連続で、絶体絶命のピンチを無失点のピンチでしのぎ切った。先発の今井達也投手が6回を1失点に抑え、2-1と1点リードして7回の守備を迎えた。ところが2番手の佐々木健投手は、先頭の代打・岡に死球を与えた上、続く佐藤都の送りバントを捕球後、一塁へ悪送球。あっとう間に無死二、三塁と一打逆転のピンチを背負った。
ここで西武ベンチは、3番手の本田圭佑投手にスイッチ。これが功を奏した。本田は代打レアードを三ゴロ、荻野をチェンジアップで空振り三振に仕留め2死。続く高部に対し、4球目のチェンジアップがワンバウンドし、捕手・森が弾いたボールは投手方向へ転がった。三塁走者の岡が本塁へ突入したが、マウンドから駆け降りた本田はボールを拾って森へグラブトスし、間一髪タッチアウト。ロッテベンチのリクエストによるリプレー検証でも、判定は覆らなかった。
1点差のまま迎えた8回にも、大ピンチが訪れた。この回から登板した4番手の水上由伸投手は、2安打1四球で無死満塁としてしまう。しかし、ここから踏ん張り、井上を三ゴロ併殺、角中を空振り三振に切って取り、同点さえ許さなかった。9回は平良が3者凡退で締めた。
辻監督は「水上は自作自演」とおどけたが、「それでも最後はビシッと決めた。そうやってたくましくなってくれれば。投手陣の頑張りは、野手にも乗り移ってくると思う」と言う。さらに「打線も、いい投手はなかなか打てないけれど、粘り強くなってきている。(チームの)バランスは良くなってきた」とうなずいた。
先発の今井は今季、開幕直前に右内転筋の張りを訴え、さらに2軍戦でも左足首を痛めて大きく出遅れていたが、2試合目で初勝利を挙げた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)