ダルビッシュの助言で“体に変化” 遅れてきた西武エース候補に期待できるワケ

ロッテ戦に先発した西武・今井達也【写真:小林靖】
ロッテ戦に先発した西武・今井達也【写真:小林靖】

今井達也は開幕直前に右内転筋に張り→2軍戦登板中にも左足首を痛めた

■西武 2ー1 ロッテ(14日・ベルーナドーム)

 転んでもただでは起きなかった。西武・今井達也投手は14日、本拠地・ベルーナドームで行われたロッテ戦に先発して6回を1失点に抑え、今季初勝利を挙げた。高橋、松本とともに先発3本柱の一角として当てにされながら、開幕直前に右内転筋に張りを訴え、さらに2軍戦登板中にも左足首を痛めて、1軍復帰は梅雨明けにずれ込んだ。今月7日のオリックス戦に次ぐ2度目の登板で白星を手にし、期待の右腕が遅ればせながら戦列に加わった。

 チームは早くもシーズンの6割近くを消化。ようやく初勝利に漕ぎつけた今井は「怪我をしていた期間中、1軍で投げられない悔しさはもちろんありました」と振り返り、「自分自身は昨年までよりも、チームの勝利に対して貪欲になった。そこが怪我をしている間に変わったところだと思います」と語った。

 下半身を動かせない時期も、親交のあるダルビッシュ有投手(パドレス)からアドバイスを受け、上半身を中心にウエートトレーニングに取り組んだ。短期間に体重が5キロ増え82キロに。「お陰で体がぶれなくなり、リリースポイントが安定。変化球が安定するようになりました」と効果を実感している。「特に今は曲がるボール(スライダー、カットボール)を、すごく自信を持って投げられています。そういうボールのサインが出る割合が増えました。(捕手の)森さんも多めに配球して下さっていると思います」と言うほどだ。

 今井と言えば、昨季与四球が両リーグを通じてワーストの99に上るなど制球難が課題。しかし、この日は初回に2死から中村奨に与えた1四球のみで、ここ一番で制球が冴えていた。1点リードで迎えた6回には、2死から連打を許して二、三塁のピンチ。打者・角中のカウントも3-0となったが、チェンジアップ、スライダーでストライクを取り、最後は外角低めいっぱいの150キロ速球で見逃し三振に仕留めたのだった。

 103球で降板。辻発彦監督は「もともと、もっと球数を投げられる体力はあるし、調整をしている間、しっかり体づくりをして万全で1軍に上がってきたと思う。オールスター前にもう1試合投げて、8月に入ったら中心になってチームを引っ張っていってもらいたい」と改めて期待の大きさをうかがわせた。

 チームは首位のソフトバンクへ、わずか勝率2厘差に肉薄。特に投手陣は今井がいない間に、昨季まで4年連続リーグワーストだったチーム防御率を、一躍リーグトップの2.40に改善している。今井は「優勝を狙える位置にいますし、僕は出遅れた分、シーズンを通してなるべく自分で貯金をつくっていきたい」と思いを新たにした。遅れてきたエース候補が、今季の西武の行方を大きく左右しそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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