野村克也氏の“言葉”を体現する楽天の2選手 石井監督が寄せる絶大な信頼
浅村はリーグトップの59打点、島内は23日に通算1000安打を達成
楽天は今季前半戦を44勝42敗2分けのリーグ3位で終えた。首位・ソフトバンクから5位・オリックスまでがわずか2.5ゲーム差にひしめく大混戦の中、9年ぶり優勝を虎視眈々と狙う。石井一久監督は打線の中軸を担う浅村栄斗内野手と島内宏明外野手に全幅の信頼を寄せる。
今季の楽天は4月から首位を走り、5月10日には2位に今季最大の4.5ゲーム差をつけて、独走態勢を固めつつあるように見えたが、その後失速。混戦の中に飲み込まれ、首位・ソフトバンクと2ゲーム差の3位につける。石井監督は「星勘定はしませんが、前半戦を勝率5割近辺で戦えたのは大事なところ。想定内で戦えていると思います」と前向きにとらえている。
指揮官は「選手1人1人に役割がある」と言う中で、「浅村と島内はグラウンドに立っていることがすごく大事。チームの中心選手ですから」と強調する。
球宴前最後の試合だった24日の西武戦(ベルーナドーム)に浅村は「3番・二塁」で出場。3回に左前適時打、5回にもセンターの右へ適時打を放ち、今季59打点目。西武・山川を抜き、打点部門のトップに立った。島内は23日の同カードで、通算1000安打をバックスクリーンへの7号ソロで飾っている。
浅村は今季全88試合に出場して打率.260、17本塁打59打点。昨季打点王に輝いた島内は、1試合だけ不振で欠場があるが、出場87試合中86試合に4番で出場して打率.287、7本塁打44打点。2人の実績からすれば取り立てて目覚ましい成績とは言えないが、石井監督は「とにかくグラウンドに立ち続けてくれている。ここまでよくやってくれているし、これからが勝負」と話す。
「中心なき組織は機能しない」というのは、石井監督の恩師である故・野村克也氏が好んでよく使った言葉だが、石井監督は浅村、島内の存在がチームに与える影響の大きさをよく知っているのだろう。新型コロナウイルスの蔓延が予断を許さない中、まさに2人が「グラウンドに立ち続ける」ことが優勝の最低条件になりそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)