選手の頑張りに監督が涙 神奈川で公立唯一の8強、藤沢清流が手にした“誇り”

神奈川公立で唯一8強進出、準々決勝で敗退し涙の藤沢清流【写真:大利実】
神奈川公立で唯一8強進出、準々決勝で敗退し涙の藤沢清流【写真:大利実】

最初は「誰もいなかった」、今夏は学校をあげての応援

 キャプテンとしてチームを引っ張り続けた田嶋は、「よくやったぞ!」という応援席からの声に、深々と頭を下げた。

「高校野球が始まった当初は(新型コロナウイルスの影響で)誰も観客がいなかったんですけど、今はこうやってたくさんの人が、学校をあげて応援にきてくれて、感謝しています。いい思い出になりました」

 ベスト8という結果に対しては、「悔しいです……」と涙声で語ったあと、言葉をつないだ。

「まずは、春に続いて、横浜スタジアムに戻ってこられたことはよかったかなって。本当に、このメンバーでよくやれたと思います。自分はキャプテンですけど、周りの仲間に支えてもらって、先輩たちが築き上げた歴史を塗り替えようと必死に戦ってきました。みんな、野球が大好きで、勝つと嬉しくて、負けると悔しい。ひとつの勝ちにこだわりを持ってやってきたんですけど、最後の最後に野球が下手なのが出てしまったかなと思います」

 すべての取材が終わり、横浜スタジアムを引き上げるとき、藤沢清流の選手たちはまだ泣いていた。ベンチに入っていた2年生の中には、『来年は、絶対に自分が引っ張っていきます!』と榎本監督に泣きながら直訴している選手もいた。

『夏ベスト4』の目標は、後輩たちへ。来夏こそ、横浜スタジアムで嬉し涙を流す。

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。

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