「緒方監督との確執はなかった」広島リーグ3連覇“直前”に名コーチが辞任した理由
2015年は「これまで私がやってきた打撃コーチの仕事ができなかった1年」
緒方監督は現役を引退した翌2010年から1軍コーチを務め、選手やチーム事情を誰よりも知っていた人物。新井氏もそれを分かっていただけに「監督自身が選手、データのことも理解している。だから、ミーティングをする必要がなかったのかもしれません。これまで私がやってきた打撃コーチの仕事ができなかった1年。どの球団、監督にもカラーがある。それは仕方ないこと」と語る。
自らが考えるコーチ業を全うできない――。手持ち無沙汰な感を胸に抱えながら、シーズンを終えると松田元オーナーに退団の意志を伝えた。
新井氏が去った2016年から広島は球団史上初となるリーグ3連覇を果たした。打撃コーチとして携わった丸佳浩、菊池涼介、田中広輔、鈴木誠也らが中心となった打線はセ・リーグを圧倒。課題を克服しながら、大きく成長した姿に「頼もしくもあり、嬉しくもあった。できれば(最終年の)2015年も打ってくれれば良かったですが(笑)」と、教え子たちの活躍を喜ぶ。
カープを退団してからは2016年に学生野球資格を回復し、アマチュア野球の指導にも携わった。それと同時に、解説者としてプロ野球界にも関わっていたが、2019年はソフトバンクに“復帰”することになった。これまでは1軍がメインだったが、今回は2軍打撃コーチとしての招聘だった。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)