「彼には何も言いません」 夏の甲子園決めた近江 山田に監督が寄せる絶大な信頼

甲子園出場を決めた近江・山田陽翔【写真:上野明洸】
甲子園出場を決めた近江・山田陽翔【写真:上野明洸】

近江・山田陽翔が1失点完投で夏の甲子園出場を決める

 頂を獲りに、夏の聖地に戻ってくる。今春の選抜準優勝の近江は、29日にマイネットスタジアム皇子山で行われた第104回全国高校野球滋賀大会の決勝で、立命館守山を4-1で下し、4大会連続16度目の夏の甲子園出場を決めた。先発したエースで主将の山田陽翔投手(3年)は、9回130球を投げて、3安打12奪三振1失点。味方の失策でピンチになっても、ギアを1段上げて三振を奪う。“貫禄”すら感じさせる投球で、流れを渡さなかった。

 近江は今春、京都国際の代替校として選抜大会に出場。快進撃を見せて代替校&滋賀県勢初の準優勝に輝いた。山田は「選抜準優勝の重圧はありましたが、優勝できてホッとしています」と肩をなでおろした。

 多賀章仁監督は「選抜準優勝という結果に満足せずに、山田を中心に全国を獲るぞという意気込みでやってくれたのが、滋賀大会優勝につながった」と戦いぶりを振り返った。改めて山田の投球については「『普通ちょっと気を抜くよな』というところも全力で行く。『石橋を叩いてわたる』という言葉もあります。だからピッチャーとしていい。真っすぐだろうとなんだろうと魂を込めて投げます。そこが彼の凄さやと思います」と感心した。

 山田には絶大な信頼を寄せる。27日の準決勝の比叡山戦では、外野を守りながら自らタイムをかけて登板を申し出るなど、山田の決めたことには口出ししない。それだけこのチームの中心には、山田がいる。決勝では四球や、味方の失策でランナーを背負って投球する場面も多かったが、「彼には試合中はもう何も言いません(笑)。自分で分かっていますから」と頭をかいた。

 夏の甲子園で滋賀県勢の最高成績は、2001年の近江の準優勝。山田は「次こそは滋賀県に優勝旗を持って帰ってこられるように頑張りたい」と意気込んだ。聖地での悔しさは、聖地でしか晴らせない。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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