今季、ボールは実際に飛んでいないのか? 1万球超を捕ってきた“収集家”の証言【マイ・メジャー・ノート】第9回

ハンプル氏は、Aロッドの通算3000安打となる本塁打もつかみ取っている

『THE BASEBALL』の出版から10年。44歳になったハンプル氏曰く、「イチローの引退試合となった2019年3月の東京ドームにも行き現在は61球場です」。ボールは1万1871個に増えたそうだが、この中には2015年6月19日にヤンキースのアレックス・ロドリゲスが本拠地で右翼席に放った通算3000安打目となる本塁打も含まれている。忘れずに付言すると、その3週間後、同じ場所でもう一つの逸話が生まれている。

 ハンプル氏はヤンキー・スタジアムの右翼席最前列近くで、オリオールズのライアン・フラハティが放った本塁打をつかみ捕る。直後のリプレー映像が落下地点を捉えると、ヤンキースの実況アナウンサーは迷うことなく言った。

「あ、同じ男じゃないですか! A・ロッドの3000本安打を捕ったザック・ハンプルですよ。信じられません!」

“球痴“と呼ぶべきこの好事家の目を誰が疑うだろうか――。

○著者プロフィール
1983年早大卒。1995年の野茂英雄の大リーグデビューから取材を続ける在米スポーツジャーナリスト。日刊スポーツや通信社の通信員を務め、2019年からFull-Countの現地記者として活動中。日本では電波媒体で11年間活動。その実績を生かし、2004年には年間最多安打記録を更新したイチローの偉業達成の瞬間を現地・シアトルからニッポン放送でライブ実況を果たす。元メジャーリーガーの大塚晶則氏の半生を描いた『約束のマウンド』(双葉社)では企画・構成を担当。シアトル在住。【マイ・メジャー・ノート】はファクトを曇りなく自由闊達につづる。観察と考察の断片が織りなす、木崎英夫の大リーグコラム。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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