阪神・青柳はなぜ打たれない? 82年MVP捕手が分析する“ミスター完投”との共通点

阪神・青柳晃洋【写真:荒川祐史】
阪神・青柳晃洋【写真:荒川祐史】

青柳は「計算した打ち取り方ができている」

 おまけに表情を変えずスイスイ投げる。クイックモーションも素早い。「ポーカーフェイスは余計に打者は嫌なもの。打者は(投手が)喜怒哀楽を出してくれた方がいい。サイドスローやアンダースローが良いと思う点は、クイックがオーバースローより絶対に速いところです」と強調する。

 昨年は13勝(6敗)で最多勝と最高勝率のタイトルを獲得。今年はさらにハイペースで白星を稼ぐ。中尾氏はフォーム改善によって制球力がアップし、投球術にもつながっていると見る。以前は後ろに体重が残ったままだったというが、今季は左肩の開きが従来より遅くなり、そこから回転するため体重が滑らかに移動しているという。「自分の狙ったところに投げられるようになったし、失投が少ない。こう投げたらここに打たせられるという計算した打ち取り方が出てきています」と分析する。

 4完投も両リーグ最多。中尾氏は「自信を持ってくると、段々力が抜けてくるもの。ここさえ力を入れればというところが分かってきます。青柳はつかみかけている。それで完投能力が上がってくる。斎藤がそうでした」と明かす。中日から巨人に移籍した1989年、右横手投げの斎藤雅樹を強気のリードで支え20勝に導いたのが中尾氏だった。斎藤はこの年、11試合連続完投勝利のプロ野球記録を樹立している。

 青柳は今シーズン、自身初の開幕投手に内定していたが、開幕直前に新型コロナ陽性が判明。大役を果たせなかった。それでも4月15日に1軍復帰してからは獅子奮迅の働き。「マイナビオールスターゲーム2022」にファン投票で選出され、第1戦で先発した。中尾氏は「彼が後半もずっとエースでいて20勝近くいけば、阪神は当然クライマックスシリーズ圏内の3位以内に入れる。逆転優勝のチャンスもあるかもしれません」と注目している。

(Full-Count編集部)

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