元オリの名手が“守備特化型”の野球教室 小学生に伝えた「流れるプレー」の大切さ

”守備特化型”の野球教室を行った元オリックス・大引啓次さん【写真:中戸川知世】
”守備特化型”の野球教室を行った元オリックス・大引啓次さん【写真:中戸川知世】

捕って、握って、投げるをつなげるには…キャッチボールを丁寧に

 オリックス、日本ハム、ヤクルトとプロ3球団で13年間プレーし、軽快な遊撃守備で鳴らした大引啓次さんが9日、さいたま市内で小学生を対象とした野球教室を行った。野球技術の向上を助けるプログラム「TURNING POINT」が主催したもので、抽選で選ばれた小学校2年生から6年生までの9人が参加。珍しい「守備」に特化したプログラムに遊び感覚で取り組むと、子どもたちの動きにも“流れ”が生まれてきたようだ。

 準備体操から始まったプログラムは、すべて野球の動きに直結していた。短距離ダッシュのスタートは、掛け声ではなく、指やボールでサインを出して伝えた。「野球は目で見て判断して動かなければならないスポーツ」だからだ。走る方向を示すサインが出るのは、ぎりぎりのタイミング。間違った方向へ走ってしまう子もいるが、大引さんは「一番いいのはミスをしないことですが、大事なのはミスをした後どうするか」と伝えた。このトレーニングは、塁上で投手を見て次の塁に進むのか、ベースに戻るのかという判断にもつながるという。

 続いてキャッチボールに時間をかけた。まず素手でボールを引き込むように捕る練習からだ。グラブをはめてもボールを捕るだけでなく、いかに「投げる」動作へスムーズに移るかに主眼が置かれた。ボールがそれた時、手を伸ばしてグラブだけで取りに行くのではなく、足を使って体の中心にボールを入れること。相手が次のプレーに移りやすいように、胸に向かって投げること。そしてボールを握り替えやすいように、捕球の際にはグラブのそばに利き手を置くことが伝えられた。

 そしてより実戦的に、ゴロを追う練習に移る。ここでもまずは、判断を磨く練習だ。大引さんは両手にボールを持ち、選手の2~3メートル前でしゃがんだ。ぎりぎりまで両方のボールを転がすふりをしながら、子どもたちを迷わせる。最後に出てくるボールは1つだけ。右へ行けばいいのか、左へ行けばいいのか、とっさに判断して動く練習を繰り返した。打球に対して、よりいいスタートを切るためだ。

守備の動きを分断すると肘や肩の負担にもつながる…

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY