イチローの言葉思い出す“お守り”をベンチへ 高松商が全員安打を記録できたワケ

マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏【写真:中戸川知世】
マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏【写真:中戸川知世】

イチロー氏の教え「常に全力の中でカタチを作る」を実践

 昨年12月にイチロー氏の指導を受けて以降、ナインは「常に全力の中でカタチを作る」をスローガンに掲げ、戦ってきた。これはイチロー氏からの“言葉”が原型だ。長尾監督によれば「イチローさんももう40歳を超えているので、全力で打撃練習をするとすぐに疲れを感じるんだそうです。でも、そこからが勝負。どんなに苦しくてもカタチを作る。そこでカタチを作れない選手は崩れていく」とのアドバイスがあったという。

 さらにイチロー氏のスタッフが何気なく口にした「イチローさんは高校生が相手でも本気で身体を仕上げてきます」という言葉をきっかけに、監督自身がまず動いた。連日午後4時には夕食を終わらせる厳しい食事制限を課し、体重98キロから20キロ以上の減量に成功した。

 また「近い距離でボールを投げるのが苦手だった」という浅野は、イチロー氏とのキャッチボールを経験してから「近距離でも力を抜かずに投げるようになりました。チームでもキャッチボールの雰囲気が変わったと思います」と変化があった。「簡単なことも一つ一つ大切にしないといけないと教わりました」と、貴重な2日間を胸に刻んでいる。

 昨夏は3回戦で優勝した智辯和歌山に破れ「イチローさんに教えていただいて、強くなったんだろうなと思うと、うちにも来てほしい」とラブコールを送った長尾監督。実現した直接指導を経て「選手たちの落ち着きにつながっていると思う。イチローさんが来て、やってきたことが間違ってなかったんだなって」と自信を持った。大切なお守りも味方に、今夏はどこまで勝ち上がれるか。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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