大阪桐蔭主将も「のまれそうになる」 下関国際の逆転呼んだ“甲子園の魔物”

大阪桐蔭の二塁を守る星子は異様な雰囲気に「のまれそうに」

 敗れた大阪桐蔭・西谷浩一監督は「どの試合も負けているチームを応援する風潮があるので、勝っている状況で、こうなるというのはもう分かっていました。それでどうこうというのはありません」と淡々と汗をぬぐったが、二塁を守る主将の星子天真内野手(3年)は面食らってしまったようだ。

「それだけの練習はやってきたんですけど、手拍子がすごくて、のまれそうになるというか。2年生の前田が投げていたんですけど、自分も余裕がなくて、声をかけられなかったのが申し訳なかった」と、浮足立ったチームを抑えられなかったのを悔いた。

 同様の状況はしばしば、甲子園に現れる。2016年夏の2回戦、東邦(愛知)が八戸学院光星(青森)を相手にサヨナラ勝利を収めた試合は大きな話題となった。東邦は9回裏に5点を奪い、10-9で勝利。スタンドのファンが声を上げて応援できた時代、大きな波が八戸学院光星の選手を飲み込んだ。コロナ禍での大会で歓声を上げられない今年も、魔物は確かにいた。

 大金星を後押しした、大きな拍手。これで下関国際は初の4強入りだ。坂原監督は「(3年生は)入学した時から準々決勝を越えることを掲げて練習してきた。大阪桐蔭さんと戦えるのは目標にしていた場所。ひるむことなく立ち向かっていけた、頼もしい選手」とナインを称賛。横綱“大阪桐蔭”を打ち破ったという自信を胸に、近江(滋賀)との準決勝に臨む。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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