1安打無失点の板東を6回途中でスパッと交代 鷹ベンチを決断させた左腕の存在
早い段階での継投も考えた中で「期待以上」の好投
そんなベンチの期待を遥かに上回る5回1安打無失点。ここで首脳陣は継投を考えた。「ピッチングコーチとも、なんぼ良くても5回で代えようと。6回のアタマから田中正義でいこうという話も出ていたんですよ」。6回の日本ハムの攻撃は9番の中島から。1番には右の野村がおり、2番、3番は清宮、上川畑と左打者が続く。ベンチが描いたのは、左の並ぶところまでは板東に任せるというプランだった。
藤本監督は「嘉弥真を2番、3番のところ行こうか、あるいは近藤のところで1人行こうかとか、そういうのを考えながらやっていた」と語る。7回以降は勝利の方程式がいる。左キラーの嘉弥真に託すなら、清宮を迎えたタイミング。ベンチの腹は決まった。この決断を後押ししたのは「左のワンポイントで本当に完璧に抑えてくれている」という、嘉弥真への絶対的な信頼度があるからだった。
板東の投球について「5回以上投げてくれたってことは期待以上ですね」と手放しで称賛した藤本監督。投手交代のタイミングについては「ちょうど板東の替え時にしたら、今年初先発でプレッシャーの中で投げてくれて、疲れもあった中でいい頃合じゃないかなと思いましたけどね」。球数74球での交代。確かに早く映ったかもしれないが、2年ぶりの先発のプレッシャーと疲労を考慮しつつ、勝つための最善策として決めた継投だった。
6連敗中だった日本ハムを破っての大きな1勝。再び西武との差は1.5ゲームに縮まった。「当然、次(の先発)も考えてますよ。この後11連戦というところもあるし、その前に入ってくる可能性も出てきますよね、今日ぐらいのピッチングをしてくれたら」。台所事情が苦しい中で出現した救世主。勝負の後半戦で板東が大きな鍵を握るかもしれない。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)