ついに復活か…藤浪が2位の高評価、村上は無双… 8月のセをセイバー目線で検証

DeNA・今永昇太【写真:荒川祐史】
DeNA・今永昇太【写真:荒川祐史】

充実のDeNA投手陣…DeNA・今永昇太が月間5勝、9イニング目の失点率は0%

 次に投手部門。投手評価には、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標「RSAA」を用いる。ここでのRSAAは「tRA」ベースで算出。tRAとは、被本塁打、与四死球、奪三振に加え、投手が打たれたゴロ、ライナー、内野フライ、外野フライの本数も集計しており、チームの守備能力と切り離した投手個人の失点率を推定する指標となっている。各チームの「RSAA」上位2選手は以下の通り。

○ヤクルト 高橋奎二1.62、マクガフ2.56
○DeNA 今永昇太5.56、山崎康晃3.68
○阪神 藤浪晋太郎5.43、青柳晃洋3.58
○巨人 山崎伊織4.18、メルセデス2.31
○広島 森下暢仁4.33、栗林良吏2.47
○中日 高橋宏斗2.97、小笠原慎之介2.97

 8月はDeNAの投手陣の活躍が目についた。

○今永昇太 5試合5勝0敗、防御率1.25、WHIP0.97、QS率100%、奪三振率7.75、奪空振率11.3%
○浜口遥大 5試合3勝0敗、防御率1.97、WHIP0.84、QS率80%、奪三振率5.63、奪空振率8.2%
○山崎康晃 14試合11セーブ、防御率0.00、WHIP0.75、奪三振率8.10、奪空振率13.9%
○伊勢大夢 12試合1勝9ホールド、防御率2.38、WHIP1.15、奪三振率12.71、奪空振率16.6%

 救援投手で最も目立った活躍をしたのが山崎康晃。14登板すべて無失点で、月間11セーブをあげた。山崎以外でも9イニング目を任された投手はすべて無失点で、DeNAは8月の9イニング目の失点確率は0%を達成した。

 そんなDeNAの投手陣の中で、チームの快進撃に最も貢献したといえるのが今永昇太だ。月間5勝はチームでは23年ぶり、チームの左腕投手としては65年ぶりの快挙だそうだ。公式でも選出有力ではあるが、セイバー目線で選出する8月の月間MVPに今永を推薦する。

 なお、DeNA投手陣の活躍に匹敵する貢献を示した投手がいる。阪神の藤浪晋太郎だ。

○藤浪晋太郎 RSAA5.43(リーグ2位)、4試合2勝1敗、防御率1.65、QS率100%、奪三振率9.55、WHIP0.84、奪空振率14.1%

 8月6日の広島戦で先発として復帰して以降、4試合とも安定した投球を披露。今季の開幕投手の中でも最も遅く勝利投手になったことで話題となったが、ここからチームにどれだけ貢献できるかに注目が集まるだろう。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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