進化する楽天主砲、投球内容抜群のオリックス右腕 8月のパをセイバー目線で検証

オリックス・吉田正尚【写真:荒川祐史】
オリックス・吉田正尚【写真:荒川祐史】

7月に続く“一騎打ち”…楽天・島内宏明がオリックス・吉田正尚を上回る

 次に打者部門。打者評価として、平均的な打者が同じ打席数に立ったと仮定した場合よりもどれだけその選手が得点を増やしたかを示す「wRAA」を用いる。各チームのwRAA上位2選手は以下の通り。

○西武 山川穂高7.72、森友哉4.02
○ソフトバンク 中村晃4.07、正木智也3.74
○オリックス 吉田正尚11.29、頓宮裕真7.18
○楽天 島内宏明13.03、辰己涼介3.31
○ロッテ 荻野貴司6.99、中村奨吾6.46
○日本ハム 近藤健介7.57、松本剛1.54

 7月に引き続き、8月のパ・リーグでも2人の打者の成績が突出している。

○島内宏明 97打数37安打、打率.381、本塁打6、OPS1.100
○吉田正尚 83打数28安打、打率.337、本塁打3、OPS1.022

 昨年まで2年連続首位打者のタイトルを獲得している吉田正が本領を発揮している。8月は杉本裕太郎外野手が戦線離脱。勝負を避けられるかと思われたが、後を打つ宗佑磨内野手や頓宮裕真捕手が好調だったため、そこまで四球禍に苛まれることもなかった。それでもBB/Kは1.56と四球の方が三振よりも多い。

 しかし、8月は打率やOPSなどの指標がリーグ1位であり、wRAAでも1位でチームへの貢献が高かったということで、島内宏明をセイバー目線で選出する8月の月間MVPに推薦する。島内はもとより空振りが少なく、コンタクトに優れた打者だが、センター方向に強い打球が打てるようになり、長打率が上昇していることが伺える。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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