攻守で牽引、西武森は「すごく大人になった」 盟友・山川が感じた“9年目の進化”
チーム防御率リーグトップの立役者は大混戦「メチャクチャしんどい」
高橋だけではない。昨季までチーム防御率が4年連続リーグワーストだった西武投手陣が、今季は6日現在リーグトップの2.62と大変身。森はここでも「今年は四球が格段に減り、お陰で余裕を持ってリードできている」と投手陣を称えているが、バッテリーの共同作業だ。今季の森は開幕直後の4月2日、ロッカールームでキャッチャーマスクを投げつけた際に右手人さし指を骨折し、“自爆”の形で2か月近くも戦列を離れる悪夢のようなスタートとなったが、復帰後は辻発彦監督が粘り強いリードを称賛する試合が多い。盗塁阻止率も昨季の.274から、6日現在.333に上げている。
この日は、殊勲者の1人である山川が「今年のチームは昔ほど打てない中、ピッチャー中心の守りで勝っている。こういう試合ができているのも森のお陰だと思います」と語った。
「森はこの2年ほどで、すごく大人になったと思います。昔は人見知りでピッチャーと会話できないこともあったけれど、若い投手が増えてきて、今ではみんなが見ていないところでも声をかけています。各投手の性格、投げたい球種、どう抑えたいかを把握している。会話する能力はすごく大事で、森はそこのスキルが一番上がったのではないでしょうか」と山川は評する。
昨季まで、投手陣の顔ぶれが少しずつ変わる中での4年連続チーム防御率リーグワースト。その間ずっと正捕手を務めてきた森は、誰よりも長く痛切に責任を感じてきた。ドラフト同期でプロ9年目を迎えた盟友の山川は、それを誰よりも間近で見つめてきたのだろう。「(森は)時には感情的になることもあるけれど、キャッチャーをやったことのない僕には責められない。僕にはわからない、いろいろなストレスを抱えながらやっているのと思うので」と語った。
1位から4位までが4.5ゲーム差内にひしめく大混戦の中、西武は残り17試合。捕手として成長を見せる森だが、かかる重圧も例年の比ではない。「メチャクチャしんどいです」と苦笑する森の双肩に、獅子の浮沈がかかっている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)