甲子園球児を支えたホテルマンが明かす強者の共通点 地元市民から愛された“人間教育”

強いチームの共通する部分は「メリハリ」、指導者の教育が行き届いている挨拶や礼儀

 長年、球児たちを見てきたが強いチームに共通する部分は「メリハリ」だという。宿舎は試合の緊張感から解放され体を休め、リラックスする癒しの場所だが「しっかり挨拶ができ、他のお客様がいる所では礼儀もある。エレベーターが一緒になっても場所を譲ったりする姿を見ます。監督さんの教育が行き届いているチームは試合の結果もついてきている印象ですね」と口にする。

 指導者の変化も目の当たりにした。1990年代は寝食のみで、ちょっとした遊びは御法度。同ホテルでは毎年夏にやぐらを組み、盆踊りなどを行う「夏祭り」を開催していたが、球児が参加することはなかった。だが、2000年代に入ると監督や指導者が積極的に選手を連れ“休息”を与えることも増えていった。

「昔の高校野球は厳しいのが当たり前でした。当時は考えられなかったことですが、時代背景と相まって指導者の方の考えも変わっていったと思います。選手たちが少しの間でもプレッシャーから解放され、楽しむ姿が印象的でした」

 球児と共に過ごしたホテルマン人生は林さんにとってかけがえのないものになった。

「色んな学校関係の皆様と関わってきたことが、自分自身のモチベーションになりました。本当に幸運でした。お世話をさせて頂いて、高校野球に携われたのは有難かった。来年の3月31日まで僅かな時間ですが、お客様を最後までお出迎えしていきたいです。埼玉と三重の地区予選は永遠に気になると思います」

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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