“投げる哲学者”DeNA今永が得た「思考法」 自身6連勝と2桁勝利に到達できたワケ

メンタルトレーニングの権威にも師事

 一方で昨年中、スポーツドクターでメンタルトレーニングの権威である辻秀一氏に師事。知人の紹介でオンラインで教えを乞い、今も辻氏の公式動画投稿サイトで勉強を継続している。「良質のパフォーマンスを引き出すための思考法」を学び、効果を感じていると話す。

 投手としては抜群の打撃を披露しているのも、偶然ではない。「打席は決して“おまけ”ではない。ホームゲームでは試合前の全体終了後、先発投手陣みんなで室内練習場でマシン打撃をしていますから」と明かす。4回1死満塁では、ヤクルト先発・原の初球のストレートを逆方向の左前へ運び、6回の打席では3番手・星の145キロ速球を中前へはじき返した。プロ7年目にしてマルチヒットは5度目。今季打率.161、通算打率.176は投手としてはトップレベルで、「DeNAの投手陣は打撃にも手を抜かないということを、伝統にしていきたい」とも話す。

 首位ヤクルトには6.5ゲーム差をつけられ、優勝マジック11の点灯を許している。斎藤隆チーフ投手は「奇跡というものは、起こそうとして起きるものではない。確かなのは、雑なことをしている限りは決して起きないということ」と投手陣を諭しているとか。だからこそ、今永はお立ち台で「1試合1試合丁寧に勝負して、ファンのみなさんと勝利を分かち合いたいと思います」と“丁寧”を強調した。さすが、どこまでも理詰めである。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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