後輩イチローから「僕に投げてほしい」 “秘密の恋人”だった元左腕が社長転身のワケ

阪神や西武、広島、オリックスの4球団でプレーした前田耕司さん【写真:山口真司】
阪神や西武、広島、オリックスの4球団でプレーした前田耕司さん【写真:山口真司】

阪神など4球団でプレーした前田耕司氏、現在はスポーツマネジメント会社の代表

 元プロ野球選手が、スポーツマネジメントの世界で躍進を続けている。阪神や西武、広島、オリックスの4球団でプレーした前田耕司氏は現在、株式会社プロアスリートの代表取締役を務める。「縁は運 運は縁 人に喜んでもらえること 人の力になれること 人が集まる会社であること」を企業理念に掲げ、元広島監督の緒方孝市氏や、元阪神の関本賢太郎氏らのマネジメントに奔走中。華麗なる転身の源流には、イチロー氏(マリナーズ会長付き特別補佐兼インストラクター)の存在があった。【山口真司】

 前田氏は福井工大福井高時代に甲子園出場も果たしたサウスポーで、1982年のドラフトで2位指名を受け、阪神に入団した。その後、2度のトレードと戦力外を経験し、オリックスに在籍した1995年限りで現役を引退。打撃投手として球団に残り、2004年には伊原春樹監督の監督付広報も務めたが、そのシーズン限りで退団し、スポーツマネジメント会社のスポーツビズに入社した。2009年には同社の関西支社長に就任。2018年1月にプロアスリートを設立した。

 プロ野球からスポーツマネジメントの世界への転身について、前田氏はこう明かす。

「振り返れば(オリックス時代の)イチローをサポートしていたことが、今の仕事にもつながっていると思いますね。当時は、スポーツマネジメントをやりたいなんて考えてもいなかった。打算も何もなかった。僕を慕ってくれる、かわいい後輩のイチローの役に立ちたい。ただ、そう思ってやっていたことなんですけどね」

 イチロー氏との本格的な出会いは1995年。前田氏が現役を引退したシーズンオフの球団納会だった。「それまではすれ違う時にあいさつする程度、僕は2軍でしたし、まともに会話したことはなかった。それがあの納会でイチローが僕の目の前の席に座ったんです。あのころ、2人とも酒を飲めなかったので、ウーロン茶で乾杯してね。そこでイチローに言われたんですよ。『前田さん、球団に残って僕に投げてくれませんか。左で投げてくれる人がいないので』ってね」。

試合後に人知れず打撃投手「しんどかった。でも、楽しかった」

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