抜群の安定感誇る西武の“ロン毛エース” 愛すべき話術と垣間見えた“器の大きさ”
「ポンセ投手のまねをしてみました。次回もやろうと思います」
■西武 4ー1 楽天(20日・ベルーナドーム)
エースの意地がほとばしった。西武の高橋光成投手は20日、本拠地ベルーナドームで行われた楽天戦に先発し、8回130球で1失点に抑える力投。チームの連敗を「7」で止め、自己最多の昨季に並ぶ11勝目(8敗)を挙げた。7月16日の日本ハム戦(札幌ドーム)以降、10試合連続クオリティスタート(QS=先発して6回以上で自責点3以下)。今季通算20度のQSはオリックス・山本と並びリーグトップという安定ぶりだ。
圧巻だったのは1点リードの8回。先頭の茂木に中前打を浴びたが、続く浅村をカウント2-2から外角150キロ速球で押し込み、遊ゴロ併殺打に仕留めた。続く4番・島内が打席に入る前に、豊田投手コーチがマウンドに駆け寄り、何事かアドバイスを与えたが、高橋は「内容は……すみません、集中していたので覚えていません」。
そして、この日129球目に投じたストレートが152キロを計測。130球目のスライダーで島内を遊飛に仕留め、先発の役割を十二分に果たした。普段エースに対しては高いレベルを求め辛口コメントが多い辻発彦監督も「130球投げてそれくらいの球を投げられるのだから、やっぱり光成は力を持っているんだね」と手放しで称えた。
今季過去5試合の対戦で打率5割(12打数6安打)と打ち込まれていた銀次を3度、いずれも得点圏に走者を背負った場面で迎えたが、遊飛、左飛、左飛と全て打ち取った。これも勝利にこぎつけたポイントと言える。前日19日に守護神・増田から延長11回に決勝ソロを放った浅村も、真っ向勝負で4打数無安打に封じた。
今季最多の球数を投じた高橋は、試合後のお立ち台で「130球投げると疲れるんだなと思いました」とおどけてスタンドを沸かせた。マウンド上での闘志あふれる表情とは異なり、ファンに向けてはユニークな一面も披露する。普段は長い後ろ髪をなびかせて投げているが、この日はそれを束ねていた。
「日本ハムのポンセ投手のまねをしてみました。今日良い結果が出たので、次回もやろうかなと思います」と、ここでも笑いを取った。ヘアスタイルといえば、いまだ実現はしていないものの、昨季オフに「アフロにしてみようかな。父が昔アフロだったので」とリップサービスしている。2年連続開幕投手を務め、今年から選手会長にも就任した。ひと皮もふた皮もむけた印象で、投球の安定感もさることながら人間的な“器の大きさ”を感じさせ始めた。