ティモンディ高岸は「客寄せパンダでもいい」 29歳の挑戦で若手に与えた“緊張感”

栃木ゴールデンブレーブス・黒羽根利規バッテリーコーチ【写真:編集部】
栃木ゴールデンブレーブス・黒羽根利規バッテリーコーチ【写真:編集部】

元DeNA黒羽根コーチ「盛り上がる方向性としては間違っていない」

 ファンあっての球団であり、選手。「プロ野球選手って毎日何万人の前でプレーしてプレッシャーを感じる。その中で結果を出せば称賛されるし、ミスをすればヤジも飛ばされる」。DeNAと日本ハムで捕手としてプレーした黒羽根利規バッテリーコーチは、NPBの舞台を知るだけに「独立だとお客さんが圧倒的に少ない」と違いも感じる。だからこそ、高岸の存在は強烈なアイコンになる。

 もちろん実力は認めた上で「僕は客寄せパンダでも何でもいいと思っている」とも。あえて強い表現を使うのには、当然理由がある。

「ブレーブスに興味を持ってくれるだけでもプラス。栃木、野球が盛り上がる方向性としては僕は間違っていないと思う。悲観的になることもないですし、中には『芸人やりながら野球やれんのかよ』という人もいると思うんですけど、僕はマイナスなイメージは全くない」

栃木ゴールデンブレーブス・叺田本気【写真:編集部】
栃木ゴールデンブレーブス・叺田本気【写真:編集部】

 選手たちも肌で感じ取っている。今秋のドラフト候補でもある叺田本気捕手は、栃木加入2年目で初めて5000人の観客を味わった。「500人の中でプレーするのとは全然モチベーションが違います。一球に対してのため息、歓声、拍手がはっきりと出る。観てもらっている以上、簡単にプレーできないという気持ちになりますし、凄くいい経験でした」。

 高岸の入団会見時、チームは南地区の4球団中3位だったが、その後2位に浮上し、プレーオフにも進出した。プロ野球は興行でもあり、観客動員はその柱だ。高岸の加入は、チームの勝利はもちろん、NPBを目指す若手たちにとっては、またとない貴重な経験となった。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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