DeNAで“CS先発合格者”続出 ガゼルマンに続き石田が好投…三浦監督の演出は?

DeNA・石田健大【写真:荒川祐史】
DeNA・石田健大【写真:荒川祐史】

先発専念が奏功し今季7勝で防御率2.95、三浦監督「直球の切れが良い」

 セ・リーグ2位が確定し、10月8日から本拠地・横浜スタジアムでクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージに臨むことが決まっているDeNA。CS先発枠入りをめぐり、チーム内のアピール合戦が熱い。28日にはシーズン途中入団のロバート・ガゼルマン投手が7回無失点、翌29日に横浜スタジアムで行われた中日戦では、石田健大投手が7回1失点(自責点0)の快投を演じ7勝目(4敗)を挙げた。

 立ち上がりの課題は残った。石田は初回、先頭の岡林を遊撃手・森の失策で出塁させたのをきっかけに2死三塁のピンチを背負うと、4番・ビシエドの痛烈な打球を弾き、あわててボールを拾いにいったものの転倒(記録は投手強襲安打)。相手に先制を許した。「自分のミスで失点したので、チームに申し訳ない気持ちと、“もったいない”という気持ちがあります」。今季通算30失点中、4割の12点を初回に失っている。

 それでも2回以降は危なげなかった。カットボール、チェンジアップ、カーブを交え、ストレートは球速表示こそ140キロ中盤にとどまるも、相手打者のバットを押し込めている。2回から7回までは1安打に封じて二塁も踏ませなかった。

「今年の石田は、ストレートの切れが良いことが好調の一番の要因。両コーナーの出し入れもできている」と三浦大輔監督は評する。指揮官が「去年までチーム事情でリリーフをしてもらったり、先発をしてもらったりしていたが、今年は先発でしっかり状態を保ってくれている」と話す通り、先発、リリーフの両方をこなせる器用さが持ち味で、起用法が一定していなかった。昨季は33登板中、先発は1試合のみ。しかし今季は先発に専念して開幕ローテ入りを果たし、途中で新型コロナウイルス感染による離脱はあったが、シーズンを通して安定した投球を続けた。15試合7勝4敗、防御率2.95は先発投手として合格点以上だろう。

 三浦監督は就任後初めて臨むCSで、先発投手をどう配置するのだろうか。セ・リーグの3位争いは依然激烈で、ファーストステージの対戦相手は現時点で未定。ここを勝ち抜けば、ファイナルステージでリーグ連覇を果たしたヤクルトに挑む。ファーストステージでは今季11勝の大貫晋一投手、10勝のエース・今永昇太投手、8勝の浜口遥大投手の“3本柱”を並べるのが定石かもしれないが、相手チームとの相性に違いがある。

 ファイナルステージで待ち構えるヤクルトに対して抜群に相性がいいのは、今季3試合2勝0敗、対戦防御率1.66の浜口である。石田は阪神に対して4試合3勝0敗、対戦防御率1.11で自信を持っている。シーズン途中入団で台頭してきたガゼルマンには、対戦データがほとんどない分、期待と不安が交錯する。役者はほぼ揃っただけに、三浦監督ら首脳陣の演出が楽しみだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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