ロッテが取り組むチケット販売のいま 担当者が語る“セカンダリーサービス”の効果
佐々木朗希の完全試合で上がった注目度…チケット購入に直結
――ユーザーの声や意見をどのように受け止めているか?
M九里:出品された方々のコメントを見ていると、お子さまが骨折をしてしまって、家族連れで本当は行きたかったのに行けなくなってしまったので、泣く泣く出品しますというケースもあります。そういった方々が、行けなかった悔しい気持ちを少しでも和らげることができればと思っています。
W薗田:今回のロッテをはじめ、2020年に西武ライオンズ、2021年に日本ハム、オリックスの4球団が公式・公認としてサービスを始めたことで、パ・リーグ4球団の取り扱いが飛躍的に増加しています。球団が公式チケットリセールを整備することでリセールサービスへの障壁が取り払われ、行けなくなったチケットを売りたい・譲りたいという潜在的なニーズに対して適切なサービスを提供することができ、ファンの皆さまに気軽にご利用いただけるようになったのではないかと思います。
――2021年とも状況が異なる2022年。現況は
M飯田:今年は入場制限がなくなりましたので、事業規模も昨年と比べ大きくなっているというのは事実ですが、コロナ前に戻っているかといわれると、まだそこまでは至っていません。今年のマリーンズ主催試合の来場者数はコロナ前2019年の約90%で推移している(7月末時点)状況です。今後、事業として向き合ううえで特に重要なことは、この3年間で足が遠のいてしまった方々とのコミュニケーションです。多くの方にマリーンズ主催試合に足を運んでいただきたいので、興味を持っていただけるような企画、情報発信を継続的に行っていく必要があります。
W薗田:実際今シーズンもマリーンズさんの一番の特徴であるファンの声出しの応援がまだ聞けないのが悲しいですね。
M飯田:これまでZOZOマリンスタジアムでのマリーンズ主催試合は、外野席の観戦ニーズが高い状況でしたが、声出し応援が困難なご時世ですとこれまでの売れ方とは変化が生じています。
――2022年のセカンダリーの現況は
W薗田:既に去年を超えていくペースです。もちろんこれは、プライマリーの販売数が増えているので、当然のことですが。
――2021年がイレギュラーだった分、2022年がこれからのセカンダリーの指標になっていく
M飯田:チケットをご購入いただく方は、チケットそのものにお金をお支払いいただいているのではなく「そこに行きたい」という動機が存在し、そのための手段としてチケットを購入されています。現在チケットやグッズをご購入いただく際に「マリーンズID」にログインいただくようにしていますが、今年4月に佐々木朗希投手が完全試合を達成した際は注目度が上がりました。佐々木投手をひと目見たい、応援したいという思いから、チケットを買ってみようかなというきっかけとなり、本当に多くの方に新たにマリーンズIDを取得いただきました。このサイクルが、そのほかのマーケティング施策でも生まれていくと良いなと思っています。
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プロ野球観戦とは、まずはチケットを入手しなければ始まらない。その入手経路の選択肢が増えたことの裏側には、チームと観客の架け橋として奮闘するプライマリー、セカンダリーそれぞれの担当者の尽力があった。
(「パ・リーグ インサイト」海老原悠)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)