オリックスは最大11.5ゲーム差をひっくり返し、大逆転Vを飾った
大逆転劇でリーグ優勝を飾ったオリックス。最大11.5ゲーム差をひっくり返し、チームとしては1995、96年以来、26年ぶりのリーグ連覇だった。若き投手陣を支えたのは、今季限りで現役引退する能見篤史投手兼任コーチ。オリックスでの2年間で多くの選手にアドバイスを送り続けたが、山岡泰輔投手との“師弟関係”は特別なものだった。
キャッチボール、遠投、ランニング。時には座らせての“仮想ブルペン”。山岡が投じるボールを受け続けたのが能見だった。シーズン中に何度も見かけた光景。試合前、当日、登板後と山岡のそばにはいつもベテラン左腕の姿があった。
山本由伸とWエースとして期待されていたが、近年は怪我に泣いた。2021年は6月22日の日本ハム戦で右肘に違和感を覚えて降板。8月に2軍戦で復帰したが、再び離脱し9月に右肘のクリーニング手術を行い、同年は自己ワーストの3勝4敗、防御率3.89と苦しんだ。
チームはリーグ優勝、日本シリーズにも進出。山岡自身もヤクルトとの日本シリーズ第5戦で救援登板を果たしたが「チームにとってはマイナスで、何も貢献できなかった」と、不甲斐ないシーズンだったことを口にしていた。
山岡は能見のアドバイスを受け今季は22試合に登板し6勝8敗、防御率2.60
心身ともに充実した今季は6勝8敗と負け越したが、22試合に登板し防御率2.60をマーク。投球回数も山本由伸、宮城大弥に次ぐ128イニングで、リーグ連覇に貢献した。投球フォームの微妙なズレ、マウンドで必要なメンタル、変化球の使い分けなど、能見コーチと二人三脚で一から見直し復調のきっかけをつかんだ。
印象的だったのは、7月19日に京セラドームで行われた日本ハム戦。7回7安打1失点の粘投で6勝目を挙げたが、この日は毎回走者を背負うなど苦しい投球が続いていた。
試行錯誤しながら要所を締める内容。試合後は開口一番に「能見さんがいないとキツいっす」と、師匠の名前を口にした。アドバイスをもらいながらの投球だったことを明かし「『ここがこうなっているよ』とか、常に言ってもらっている。なんとか考えて投げられた」と、感謝の言葉を並べていた。
山岡と過ごした濃密な2年間を、能見はこう振り返る。
「ずっと相手させてもらってるので、本人がどう思っているのかは分からないが、今までやってきてるので。どんどん成長してくれると思うので大丈夫だと思います」
悲願の日本一が能見への恩返し「胴上げするため、なんとか日本一になりたい」
チームは日本シリーズ進出をかけ、12日からCSファイナルステージを戦う。このまま順調にいけば山岡はポストシーズンで先発を任されることになる。
「能見さんには、かなりのことを学ばさせてもらった。毎日、キャッチボールさせてもらって僕が一番、助言をもらったんじゃないですかね。『勝てなくても投げやりになるな』と、我慢することも教わった。能見さんを胴上げするため、なんとか日本一になりたい」
悲願の日本一を手にすることが、能見への恩返しになる。背番号「19」は他を寄せ付けない投球を見せ、師匠の最後の花道を飾るつもりだ。
○著者プロフィール
橋本健吾(はしもと・けんご)
1984年6月、兵庫県生まれ。報徳学園時代は「2番・左翼」として2002年は選抜優勝を経験。立命大では準硬式野球部に入り主将、4年時には日本代表に選出される。製薬会社を経て報知新聞社に入社しアマ野球、オリックス、阪神を担当。2018年からFull-Countに所属。
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(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)