“振り子投法”で村上宗隆を三振斬り…ドラ1候補の153キロ右腕が待つ「3度目の正直」

調子の波をなくすために…何が「変わって」いるのか把握に試行錯誤

 国学院大4年次は、秋のリーグ戦中に肩を痛めたこともあって指名漏れ。東芝にはドラフト1位でプロに行くことを目標に入ってきた。入社前、平馬淳監督ともそう話し合い、目標シートに書きこんだ。

 ただ、入社して2年を経過し“解禁年”となる昨季も指名はなかった。ドラフト前の9月末に行われた都市対抗予選で、自己最速の153キロを叩き出したにも関わらずだ。課題は自分でもよく分かっていた。調子の波が大きすぎたのだ。ピシャッと抑える試合がある一方で、思うようなボールが行かないと試合をつくることさえできなかった。

 ひたすら目一杯投げるところから、意識改革を図った。悪い時にどうすればいいのか考え抜いた。様々な投げ方を試し、あえて「調子がよくないな」という日に投げ込んだりして、いい時と悪い時の違いを探した。気が付けば「3パターンくらい」の引き出しを駆使して、その日の調子を瞬時に判断し、修正できるようになった。自分の投球フォームへの理解を深め、投げる“タイミング”への意識が全く変わった。

「以前は、悪い時は本当に何もできずに終わっていました。でも今は、自分の身体やフォームがこうなっているから、こういうボールになっているというのを判断できるようになったと思います」

 その成果は、今夏の都市対抗野球本戦で見られた。1回戦で北海道ガスに0-1で敗れ「負けているわけですし、悔いの残るボールはあります」と振り返る一方で「でも、自分としては粘れたかな」という感覚が残った。スタンドにはスカウトがズラリ並び、実戦力を高く評価する声が聞かれた。着実な“進歩”は、プロの目にも止まっていた。

父との猛練習がプロへの礎「きついな、と思ったこともありますけど…」

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