「自衛隊」「回転寿司」と打撃の共通点は? ドラフト候補へ成長させた元プロの“珍言”

ドラフト候補の山村学園・坪井蒼汰【写真:加治屋友輝】
ドラフト候補の山村学園・坪井蒼汰【写真:加治屋友輝】

埼玉・山村学園の高校通算37本塁打の強打者、坪井蒼汰内野手は運命の日を待つ

 埼玉の高校に将来有能なスラッガーがいる。山村学園で高校通算37本塁打を放った坪井蒼汰内野手。西武・中村剛也内野手を思わせる柔らかいスイングで、大きな放物線を描く。甲子園出場こそないが、今春の関東大会で1試合2発を放つなど、スカウトの目に留まる活躍を見せた。中学時代から指導を受けた元プロ野球選手の出会いも大きく、夢をたぐり寄せた。176センチ、85キロの体格だが、愛らしい瞳を持つ大砲は運命の時を待つ。

 ドラフト会議まで1週間を切った。「まだ実感が湧いていない状態です。これから、緊張してくると思います」と坪井は率直な気持ちを語った。今春の関東大会、市立船橋戦(千葉)で放った2本塁打。夏の埼玉大会は準決勝で惜しくも敗れたが、6試合で2本塁打。即戦力ではないが、将来の主軸を打てる才能は秘めている。

 山村学園の指導者たちからは「野球小僧」「努力家」と評される。野球部を引退した今でも1、2年生と混ざって、バットを振っている。練習に対するその姿勢は「歴代の部員見てもトップクラス」。最後の夏を終えるまでも、朝の希望者練習にはほぼ顔を出し、公式戦前後の疲れを抜くための休息時間を与えても、坪井は休まずバットを振っていた。帰宅後も家で1時間以上、練習を欠かさずスイングし、そのパワーを作り上げた。

 坪井の生まれは岡山県。隣の県の広島カープの試合を観に行ったことがプロ野球との出会いだった。当時のことで一番覚えているのは、新井貴浩現・広島監督の逆方向への本塁打だった。カープの試合を見て、新井の右方向への打球に魅了された。山村学園のユニホームも赤色を使用している部分もある。「僕は赤色が好きです」と坪井の頬がゆるんだ。

 小学生の頃、大阪に引っ越した後、少年野球を始めた。その後、父の転勤で埼玉に引っ越し、浦和リトルシニアに入団。主力打者として、日本一になった経験もある。その浦和シニアで、坪井の野球観を大きく変える出会いがあった。今も「恩師です」と語るかつて日本ハムでプレーし、シニアのコーチだった矢作公一コーチの存在だ。

長嶋一茂氏と立大でクリーンアップを矢作公一氏が恩師

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