なぜドラフトで社会人選手が“不人気”? 専門家が危惧、上位指名が敬遠されるワケ
「1年から2年の経験を積まないと、1軍の戦力にならない」
社会人では2002年には金属バットから、木製バットに変更された。成人男性が金属バットで放つ打球速度はとても危険であるということが大きな理由だ。その頃から世界大会レベルでは15歳以下の大会を除いて使用禁止となった。
金属バットが使用されていた当時は、力のない打者でも本塁打を打つことが可能だった。一方、投手からすると金属バットを手にした打者を打ち取るためには、いかにバットにボールを当てさせないよう、空振りを取るかを考える必要があった。また、細心の注意を払いながら投球をしたり、分かっていても打たれない直球を投げる必要に迫られるため、高いレベルの投手が育った背景がある。
「私もオリックス、ロッテでコーチをしていた頃、社会人から入ってきた投手たちと携わることがありました。プロでは一段階も二段階も高いレベルの打者と対戦する。ストライクゾーンの違いもあり、なかなかすぐにパフォーマンスを出せる選手が少なくなっているかなというのは感じています。即戦力というよりも1年から2年の経験を積まないと、1軍の戦力にはならない」
そういう力が抜きんでた投手がいない分、打者も育たない“悪循環”も生まれてしまう。
「僕がプロに入る前の話ですが、社会人出身の投手、五輪で活躍された方は新人王を獲得されたり、即戦力で活躍されたりすることが多かったというのが印象としてあります。そう考えると木のバットの影響は大きいのかなと思います」