ヤクルトを勝利に導いた中村の“セオリー無視”の配球 専門家が絶賛した“勝負球”

オリックス杉本を封じた中村のリード「一発、打たれたらいけない=低めの変化球じゃない」

 相手エースを粉砕し、打ち勝った内容だったが野口氏は終盤にみせた中村のリードに注目。7回2死一塁で打席には一発に警戒が必要な杉本。スライダー、チェンジアップで外角を攻めカウント3-2からの6球目は145キロの内角で見逃し三振を奪った。

「あの場面は本塁打だけは絶対にダメな場面。シングルヒットは最悪OKなところで本来なら外角、変化球でいきたくなる。セオリーなら変化球が勝負球。その空気を作ったが、中村の頭には『インコースを空けた』感覚だったと思います」

「一発、打たれたらいけない=低めの変化球じゃない。確かにセオリーだったら内角はありません。そこは中村の洞察力が可能にした。最後の1球までの道筋を作ったことで、打者は完全に裏をかかれたはずです」

 この1球は後々に響くことにもなった。2点リードの9回1死一、二塁の場面で再び杉本。カウント1-2からの5球目。やや甘く入った148キロの直球に空振り三振。野口氏は「杉本はこのシリーズで色んなことを考えなければいけなくなった。勢いに乗ると止まらない打者を黙らせておきたい。この日の2三振でその可能性は出てくるかもしれません」と指摘する。

 先発の小川が5回2失点の粘投で日本シリーズ初白星。塩見、村上、オスナと打つべき打者が結果を残し、投手陣を支える中村が好リード。高津ヤクルトが、シリーズ連覇へ最高のスタートを切った。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY