“サイン盗み”は必要ない 17年Vメンバーの8割流出…それでも強いアストロズの育成力
アストロズはここ6年で4度ワールドシリーズに進出
今季、ア・リーグ西地区をダントツで制したアストロズは、地区シリーズとリーグ優勝決定シリーズでも無敗のまま7連勝で圧倒し、2年連続でワールドシリーズ進出を果たした。球団史上初の世界一を達成した2017年当時の選手は8割がいなくなったが、ここ6年間で4度リーグチャンピオンに輝く安定した強さを見せている。サイン盗みで問題となったのはもう、過去の話。MLB公式サイトは「ライバルチームのファンはいまだに“ゴミ箱のふたや架空のブザー”にとらわれているが、アストロズが自前の選手で常勝チームを作り上げる方法を知っていると業界関係者は認めている」とその秘密に迫っている。
ヤンキースを圧倒したリーグ優勝決定シリーズでMVPに輝いたのは、今季デビューしたばかりの新人ジェレミー・ペーニャ内野手だった。チームの中心人物だったカルロス・コレア内野手(現ツインズ)がFAで抜けた後の大きな穴を、25歳の若者が埋めた。
コレア以外にも、ここ数年でジョージ・スプリンガー外野手、ゲリット・コール投手、チャーリー・モートン投手ら大物が続々とFAで流出。それでもリーグトップに君臨し続ける理由をMLB公式は「このスカウトがアストロズの成功の半ば公然の秘密だ」と題して特集した。
“このスカウト”とはシニア・スカウティング・アドバイザーを務めるチャーリー・ゴンザレス氏のこと。キューバ方面のスカウティングを統括しており、元DeNAのユリ・グリエル内野手獲得に尽力した人物だ。キューバだけではなく、国内のドラフト戦略でも大きな影響力を持ち、アレックス・ブレグマン内野手やカイル・タッカー外野手ら現在の主力選手の指名を後押しした。