最終戦直前に決断「選手は驚いたと思う」 ロッテ井口前監督、電撃辞任を決断したワケ

最終戦セレモニー後にナインと場内を回ったロッテ・井口資仁前監督【写真:荒川祐史】
最終戦セレモニー後にナインと場内を回ったロッテ・井口資仁前監督【写真:荒川祐史】

勝利を目指しながらも続けた若手起用「かなり我慢しながら…」

 球団の方針として「育成」に重点を置いていたので、勝利を第一目標としながらも、若手を起用し続けました。ある程度、いや、かなり我慢しながらの起用でしたが(笑)、1軍で積ませた経験が今後、大きく花開くことを願っています。正直なところ、とにかく今年勝てばいい、というのであれば、ドラフト戦略や選手起用は全く違ったものになったでしょう。常勝軍団を作るには、中長期のプランが大切になります。

 1年間しっかりファームで試合経験を積ませたり、壊れない体作りをさせたり、1軍と2軍とうまく連携を取りながら進めることができました。下準備ができた選手であっても、やはり1軍と2軍とではレベルの差があるので、すぐに結果は出ません。経験を重ねながら少しずつ結果を出す様子を、毎日の成長として確かめることができたのは楽しみでもありました。

 もしかしたら、ファンの皆さんの中には若手選手の成長が遅いとヤキモキする方もいるかもしれません。ですが、プロの世界に適応するには誰でも時間が必要です。特に、高校からプロ入りした選手は、甲子園の影響もあって大きな期待を寄せられますが、すぐに適応できる選手はほとんどいません。成功と失敗を繰り返しながら、プロとして経験を積み、成長していくわけです。

 例えば、今季4年目だった藤原は、今年ドラフトされた大学4年生と同い年。プロで4年を過ごしたか、大学で4年を過ごしたか、という違いはありますが、まだまだこれから。来年、再来年には大ブレークしてくれると思います。他の若手選手の成長も是非、楽しみにしておいてください。

 1996年のドラフトでプロ入りしてから26年、選手・監督としてずっとユニホームを着続けてきました。所属チームがなく、来年はユニホームを着ないという実感は、まだありません。秋季キャンプに参加しなかった現役最後の頃のシーズン終わりに似た感覚です。12月になったら野球をしたくなりそうな感じが……(笑)。

 来年はいちOBとして、少し客観的な立場から野球に携わることになります。僕にとって新たな始まりとなりますが、最後に一言。今年も千葉ロッテマリーンズを応援してくださり、ありがとうございました。来年以降も選手の成長をしっかりと見届けてやってください。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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