最終戦直前に決断「選手は驚いたと思う」 ロッテ井口前監督、電撃辞任を決断したワケ

就任当初の仕事は「選手やチームの意識を変えること」

 監督1年目の2018年、最初の仕事は選手やチームの意識を変えることでした。負けることに慣れていた選手の野球観を、強いチームの野球観に変えていかなければならなかった。選手たちは「優勝したい」と口では言っても、試合で相手のエースが出てきたら「今日は打てなくて仕方ない」と諦めていた部分がありました。その意識を変えるきっかけになったのが、1軍・2軍を通じて徹底させた走塁だったと思います。長打がドンドン出なくても、足や小技を絡めながら上位に食い込むことができた。チームとして束になれば勝てるという自信が生まれ、大一番でも引けを取らないチームになってきたと思います。

 一昨年に最後の最後まで競りながら2位となった経験が、昨年の優勝争いをした末の2位という結果に繋がり、もうひと頑張りすれば自分たちは優勝できる、という想いを、みんな持ってくれたと思います。それだけに今季の悔しさは大きく募りますが、勝つための下地は整った。あとは選手たちがそれぞれ、試合で結果を残すだけのところまで来ているので、来年以降も楽しみでしかありません。

 5年でここまでできたのは、ドラフト戦略や戦力補強、環境整備など、現場とフロントが一体となって、チームとして前進してきた成果だと考えています。マリーンズはドラフト指名で獲得した選手を育てていくのがチームカラー。2025年に向けて、高校生を中心にいいドラフトを重ねてきました。まだ1軍デビューしていない選手もいますが、彼らの今後が本当に楽しみ。自分が監督職を退いたからといって、これでサヨナラということではなく、特に若い選手たちがいい方向へ進むよう願う気持ちは強く持っています。

 高部と安田はある程度、一本立ちできてきた。山口、藤原(恭大)、松川といったあたりが、来年以降どうなるか。特に松川はシーズンを通じて1軍を経験できたので、迷うことなく、コーチ陣が変わることもプラスに捉えるくらいの心意気で、前に進んでもらいたいと思います。

勝利を目指しながらも続けた若手起用「かなり我慢しながら…」

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