たった1年で退団と日本シリーズ好投の“明暗” 2020年育成ドラフトに見る生存競争

オリックス・宇田川優希と古長拓(左から)【写真:荒川祐史】
オリックス・宇田川優希と古長拓(左から)【写真:荒川祐史】

オリックス・宇田川、西武・水上を輩出…来季が勝負の3年目

 オリックスが26年ぶりの日本一に輝いた日本シリーズで、またしても育成出身のスター候補が現れた。2年目の宇田川優希投手はリリーフで4試合に投げ無失点。与えられたチャンスを確実に生かし、スポットライトを浴びた。宇田川がオリックスに指名された2020年秋の育成ドラフトでは、早くも明暗が生まれている。振り返ってみたい。

 この年、育成ドラフト3位で仙台大から入団した宇田川は、オリックスが2敗1分で迎えた日本シリーズ第4戦では1回2/3を被安打0、4奪三振の力投で勝利投手に。まさにシリーズの流れを変える力投でお立ち台にも上がった。シーズンでも19試合に登板して防御率0.81だ。

 シーズン序盤は3軍に帯同し、独立リーグのチームとの試合で投げることもあった。それが7月28日に支配下登録されてからは、150キロ台中盤を叩き出す直球と落差の大きいフォークで自分の居場所を作った。

 さらにこの育成ドラフトからは、他にも1軍で大活躍する選手が生まれている。西武が5位で指名し、四国学院大から入団した水上由伸投手だ。1年目の昨年5月に支配下登録されると、1軍で29試合に投げ防御率2.33という好成績。今季は60試合で4勝4敗1セーブ、リーグ2位の31ホールドを記録し、新人王候補にも名が挙がっている。

 巨人が2位で指名した喜多隆介捕手も今季支配下登録され、14試合に出場した。同じく7位指名の戸田懐生投手も1年目から支配下入りし、2年間で1軍17試合に投げている。ロッテは4選手を指名し、すでに3人が支配下に。小沼健太投手は1軍21試合登板、山本大斗外野手もシーズン終盤にプロ初出場を果たし、吉井理人新監督に期待を寄せられている。左腕の佐藤奨真投手は後半戦で先発ローテーションの一角を占めた。

 一方で、オリックスが8位指名した古長拓内野手のように、2軍で11試合、打率.125という成績で1年で戦力外となった例もある。育成選手には、契約して3年目のシーズンを終えると一旦自由契約になるというルールがある。2020年指名組にとっては来季がその3年目。わずかなチャンスを生かし、球界に生き残る選手がさらに生まれるだろうか。

(Full-Count編集部)

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