“最後の近鉄戦士”が迷った引退 「勇気が必要だった」決断、坂口智隆が流した涙
近鉄、オリックス、ヤクルトの3球団が繋いだ不思議な縁「幸せな野球人生」
プロのスタートを切り、移籍によって生まれた歓喜の瞬間。近鉄、オリックス、ヤクルトの3球団が結んでくれた不思議な縁を感じている。
坂口氏のプロ初安打は近鉄時代の2003年10月7日・オリックス戦(当時、Yahoo!BBスタジアム)での二塁内野安打。そして、昨季は20年間のプロ野球人生で初めてリーグ優勝、日本一を経験し安打を放った。小学校時代に通い続けた、ほっと神戸(当時はグリーンスタジアム神戸)でも日本シリーズに出場。さらに今年は引退後の最初の仕事でヤクルトとオリックスの日本シリーズの解説者を務めた。
「節目の年に全ての球団に関わっていた。去年、ほっと神戸で日本一を決めた時はめちゃくちゃ寒かったけど、凄い経験をさせて頂いた。近鉄でプロ初ヒットを記録した相手がオリックス。人生で初めての優勝がヤクルトで、憧れ続けた球場(ほっと神戸)で試合もできた。ユニホームを脱いでの初めての仕事が今回の日本シリーズ。本当に有難かったし、嬉しかった。怪我も沢山して辛い思いもあったけど、最後は幸せな野球人生でした」
職業「プロ野球選手」から離れ、現在は時間があれば後輩たちにアドバイスを送りながら、ゆっくりと流れる時間を楽しんでいる。
「一番は野球に携わることができればいい。指導者にも勿論、興味はありますし、アマチュアを含めて全てのことに興味があります。野球がないと生活にも張りが無くなる。人生の一部で切ることができない。辞める間際のファーム生活は財産になった。野球を一から勉強して一回り、二回り賢くなっていければいいですね」
ファンやナインから“グッチ”の愛称で親しまれた男が、グラウンドに帰ってくる日はそう遠くないかもしれない。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)